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Syda Productions / shutterstock

配車サービス世界最大手のウーバーが1月22日、アメリカの10都市で食品宅配サービスを開始すると発表した。対象はワシントンD.C.、シアトル、ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴなど、ウーバーがこれまで試験的にサービスを運用したことのある大都市圏だ。

常時100万人以上の運転手が登録しているウーバーにとって、運転手の空き時間をいかに効率的に活用できるかが大きな課題だった。これまでも小包の集荷といった新分野を試してきたが、今回ウーバーが新たに参入する食品の宅配は、ビジネスモデルが確立されておらずライバルが多い市場であるとはいえ、最も大きな可能性を秘めた領域と言えるだろう。

ウーバーの新サービスは、PostMatesやGrubHubなどの競合他社と基本的な仕組みは同じだ。顧客は数十件のレストランのメニューのなかから好きなものを注文し、ウーバーが約30分以内に宅配する。配達手数料は1回5ドルだ。トロントでの新モデル試験運用を経て、このたび全米の厳選10都市にお目見えする運びとなった。利用者はウーバーの新たなアプリをダウンロードする必要がある。

すでにウーバーは、あらかじめ指定したメニューの中から注文する場合に限って、追加料金なしで10分以内に宅配するサービスも開始しており、今後も継続する予定だ。記者も、この即席バージョンのウーバー・イーツを利用しすっかり味をしめた利用者のうちの一人だ。なんといっても、レストランで直接注文するより安価で、かつ数分で配達してくれるのだ。ウーバーの誘惑はこれだけにとどまらない。ピザを5ドル引きにしたり、注文ごとにカップケーキやソーダを配ったり、さらには10ドルでハロウィンなどイベント用の衣装が揃えられるプロモーションを行うなど、ユニークなサービスが目白押しだ。

競争が激化する食品宅配サービス事業に参入するウーバーには、特筆すべき3つの強みがある。

1.サービスの穴埋めをできるドライバーが豊富にいる。四六時中対応可能な労働力を大量に保持していることは、あらゆるオンデマンドサービスを提供するための絶好の条件だ。

2.ウーバーのアプリはスマートで使いやすいことに加えて、サービス満足度が高い利用者を多く獲得している。既存の勢力を活かせば、競合他社と比べ圧倒的に低いコストで新サービスのウーバー・イーツに参入できる。

3.ウーバーはこうした新領域へ投資するための絶大な資金を保有している。新たなビジネスモデルを確立する過程で、過剰投資したり、時には失敗したりできる余裕があるのだ。たとえば、前述の即席のウーバー・イーツのサービスは、料金とサービス内容からするとウーバー側には儲けがなさそうに思えるが、もしかしたらウーバーは本当に赤字覚悟でやっているのかもしれない。なぜなら、ウーバーは人々に新たな行動パターンを築かせることこそが投資だと考えているからだ。

外食産業は、スーパーなどの食料品店と比べると、かなり多くの利益を上乗せしている。そのため、レストランはウーバーに仲介手数料を支払っても利益を確保することができるし、ウーバーは顧客からも配達料を徴収できる。さらにウーバー・イーツの利用者は、あまりお金にシビアにならず、むしろ普段よりも多く注文するだろう。その傾向は、スーパーのチラシやクーポンを細かくチェックして買い物をした矢先に、向かいのスターバックスに立ち寄って1杯5ドルもするコーヒーを飲む人を想像すれば、分かりやすいかもしれない。

これまでも世界に旋風を巻き起こしてきたウーバーのことだ。今後もしばらく勢いが続きそうだ。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

 

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