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GLEN S. FUKUSHIMA

知日派のアメリカ人の間では、日本経済の行く末について懸念が高まっている。「アベノミクス」は、安倍晋三政権発足直後の2012年12月の発表時には、アメリカ国内で、エコノミストや産業界、オバマ政権から幅広い支持を受けていた。持続的な経済成長達成のための大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略からなる「三本の矢」は、日本をデフレから脱却させ、1990年代初頭のバブル崩壊以降の「失われた20年」を終わらせる正しい組み合わせだと見られていた。

当初は株式市場も上昇。円安の結果、とりわけ輸出産業の収益が改善し、物事は順調に進んでいるように思えた。しかし、14年4月に消費税の5%から8%への引き上げによって、同年第2四半期にGDPは7.8%落ち込み、続けて第3四半期には1.6%減少した。GDPの2四半期連続の減少は、一般的に「景気後退」と定義されている。このため、安倍首相は15年10月に予定されていた消費税の8%から10%への引き上げを遅らせることにした。

消費税の引き上げが、GDP減少の直接の原因だと見なされたが、より根本的な原因は第三の矢に進展が見られないことである。第一と第二の矢は、一義的には日本銀行と財務省の施策だが、第三の矢の成功には日本経済全般を対象とした政府による規制改革に加えて、企業構造と企業行動の変革が不可欠である。現在の構造から利益を得ている根強い既得権益に切り込む必要のある第三の矢の実行には、強力な政治的リーダーシップと政治的資本を費やす覚悟が必要になる。

12年12月以降、日本の有権者は安倍首相に投票してきているが、これは何より首相に経済を改善してほしいからである。しかし、安倍首相は、政治的資本を日本経済の再活性化よりも国家安全保障の強化に使っているように、海外からは見られている。一例としては、13年12月に国会で成立した特定秘密保護法が挙げられる。また、15年9月に国会で成立した平和安全法制もある。安倍首相が、政治的資本を同様に費やした経済問題はあるだろうか。

10月、ワシントンを訪問した日本政府高官による日本経済に関する発表があった。その際、アメリカの参加者から次のような質問が出た:

(1)首相のGDP年率3%成長という予測に対して多くの日本人が疑問を呈しているが、現実的なのか。
(2)日本は、人口減少や低出生率、高齢化という人口問題に直面していることを考えれば、高度人材と単純労働者の両方のレベルで、移民の受け入れを検討すべきではないのか。
(3)日本の巨額の政府債務を考えれば、消費税の10%への引き上げで十分なのか。健全な財政基盤の確保には、消費税を少なくとも15%にする必要があるのではないか。
(4)外国からの対内直接投資の増加には、5つの改革が提唱されている。
 (a)言葉の障壁の克服、
 (b)インターネット接続の改善、
 (c)ビジネスジェットの地方空港での受け入れ、
 (d)外国の子供向けの教育環境の拡充、
 (e)外国企業を支援するサービスの強化、である。

これらを実施すれば、対内外国直接投資を促進する環境は改善するかもしれないが、日本がOECD34カ国中、外国直接投資の対GDP比が最低である本当の理由への対策になるであろうか。日本は、外国の投資家を引きつけようと競争している他のアジア諸国と競争に勝てるだけの魅力的な市場と政府のインセンティブを提供しているであろうか。

アメリカには日本のことを思い、日本が経済再生を実現し、特にアジアにおいてリーダーシップを発揮してほしいと考えている人が数多くいる。このような日本の友人たちは、日本が世界において、より大きな影響力、尊敬、賞賛を得るためには、平和かつ平和を愛する国である立場を維持するだけではなく、イノベーション、技術、ダイナミズムなどによって経済を再活性化することが最も効果的だと信じている。

そのためには、政治的リーダーシップを発揮して、既得権益という課題を克服し、長期的に持続可能な経済成長を可能にする根本的な構造改革を達成し、平和尊重を堅持する必要がある。

グレン・S・フクシマ◎米国先端政策研究所(CAP)の上席研究員。米国通商代表部の日本・中国担当代表補代理、エアバス・ジャパンの社長、在日米国商工会議所会頭等を経て現職。米日カウンシルや日米協会の理事を務めるなど、日米関係に精通する。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

 

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