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I have opinions about economics, finance and public policy.

Ken Wolter / Shutterstock

経済学の基本として、私達が人々に理解してもらおうとしているのは、ある物の価格を上げると、人々が買う量が減るということだ。価格が上がるほど買われる劣等財であるギッフェン財のような例外はあるものの、人間の労働はギッフェン財ではないので、これは、当てはまらない。そして、これは、最低賃金を議論する際に重要である。従業員に支払う賃金を上げると、他の条件が同じなら、雇われる人は少なくなる。

最低賃金が少しばかり上がったからといって、すぐに大規模な失業が発生すると言っている訳ではない。しかしながら、時間が経てば、賃金が上がらなかった場合よりも、仕事を見つけられる人は少なくなるということだ。黒人のティーンエージャーの失業率が50%になっている米国において、失業問題が実際に存在することを理解するのは、それほど難しくないだろう。現在のシステムの中で既に最も不利になっている人達が、最低賃金引上げの影響を最も受ける。

これは、Think Progressにおいて、「ウォルマートが、最低賃金の引き上げを考えている市議会を脅迫」と、ウォルマートに対する糾弾がなされていることを思い出させる。

脅迫とは、何をやったのだろうか。賃金引上げが認められたら、ギャングを送り込むとでも言ったのだろうか。実際は、そんなことではない。

あるカリフォルニア州の都市をウォルマートが最低賃金引き上げに関して脅迫。

カリフォルニア州のデザート・ホット・スプリングス市は、住民の収入を増加させて、より多くの小売業者を呼び込もうと、最低賃金の引き上げを検討している。しかしながら、この提案は、米国最大の小売り業者であるウォルマートから反対されている。

市議会が火曜日に投票する条例では、市内で営業している総売上が500ドル以上の全ての大規模小売り業者は1月以降、少なくとも時間当たり10.20ドル支払うように求めている。この最低額は、今後2年間毎年1ドルずつ引き上げられ、その後は、インフレに連動する。同市の現在の最低賃金は、カリフォルニア州と同水準の1時間当たり9ドルに設定されており、これが1月からは10ドルに引き上げられる。デザート・ホット・スプリングスの住民の年収の中央値は、約32,000ドルであり、近隣の都市より、かなり低い。

ウォルマートは、同市に土地を所有しており、店舗を建設するための話し合いを長い間行っている。しかしながら、この提案を聞いた後、同社は、この条例は、「ウォルマートがデザート・ホット・スプリングスに来ないように狙い打ちする」ものであるとして、もし同条例が承認された場合には、「次のステップを見直す」と言っている。これは、およそ300人の新規雇用に関わる問題である。

勿論、どんな都市も、最低賃金条例を作る権利があるのは、明らかである。ただし、それを持つことによる影響も甘受しなければならない。そして、もし最低賃金を引き上げることによって、ウォルマートがあなたの街に来て店を開かなくなるとしたら、それは脅迫だろうか。私達は、例えば、ウォルマートを持つ権利があるだろうか。民間企業に、自分達のためにその資本を使うように要求する権利があるだろうか。そのような権利は、実際にはないと確信を持って言える。

したがって、「もし最低賃金が上がるのであれば、当社は何千万ドルも費やして店舗を造らない」というのは、脅迫ではなく、経済学の基礎を述べているだけなのである。
そして、これこそ、最低賃金が経済に広く及ぼす影響なのだ。雇主が、突然労働者を大量に解雇するわけではない。時間が経過するにつれて、最低賃金が引き上げられなかった場合と比べて、新しい事が行われることが少なくなるので、経済全体として雇用が減るということなのである。これは、脅迫ではない。ここで述べたウォルマート の事例のような個別のレベルでもそうではないし、最低賃金の引き上げは雇用に悪影響を及ぼすと常に警告してきている経済全体レベルでもそうではない。何かの値段を引き上げたら前より買われなくなるというのは、脅迫ではない。単なる現実である。

したがって当然、最低賃金は引き上げない方が良い。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

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