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2015.11.18

テクノロジーが音楽ビジネスに与える4つの進化

Robert Kneschke / Shutterstock

音楽産業の今後を考える会議、 SFミュージック・テック・サミット(SF MusicTech Summit)が11月10日にサンフランシスコで開催。起業家やミュージシャン、マーケッターが業界の今後について討議した。筆者は様々なパネルに顔を出し、“今後10年の音楽業界”と題されたパネルでは司会を務めた。

音楽で食べていくのは難しくなっているが、稼ぐ手段は増えている。問題は、いかにしてその方法を見つけるか。あるいは発明するかだ。下記に音楽とテクノロジーの現状と今後に関するポイントを4つにまとめた。

1.当面はストリーミングの時代が続く
現在、隆盛を極めているストリーミングだが、それに取って代わる技術が近いうちに誕生するのは確かだ。その流れは止められないと、音楽配信サービスBeats Musicの共同設立者のブライアン・ハリス・フランクは言う。しかし、カセットがCDに置き換えられたような変化には長い時間がかかるだろう。当面はストリーミングをどう進化させるかが課題となる。

2.難題山積のロイヤルティ分配問題
ミュージシャンらは正当なロイヤルティを手にしていないと、ロイヤルティ監査会社AudiamのCEOジェフ・プライスは指摘する。それを解決するには、デジタル・インフラの改良や徴収の強化が求められる。より公正なロイヤルティの決め方も必要だ。


ミュージシャンたちにツアー用ワゴン車をレンタルするBandago社CEO、SharkyLaguanaは「現在のストリーミングモデルでは単純に再生回数に応じてロイヤリティを支払うため、クリックを繰り返して再生回数を増やすなど、不正が起きやすい」と述べた。

3.ミュージシャンが稼げる新たな仕組みが登場している
技術の進歩によって、収益化の新たな方法が生まれている。現在ではクラウドファンディングでの資金調達や、ライブ中継サービスStageitで自宅からライブ配信することも可能だ。120万ドルをクラウドファンディングで集めたアマンダ・パーマーやヒップホップグループのウータン・クランまで、大手レーベルに属さず稼ぐ一匹狼はたくさんいる。

4.有望なのはライブ×ストリーミング
ストリーミングとライブの組み合わせが、大きなビジネスになる。ネットラジオ局のPandoraは4.5億ドル(約550億円)でチケット販売サイトTicketflyを買収した。同様のサービスを提供するMagnifiが900万ドル(約11億円)の資金を集めて再始動したこともその証だ。

編集=上田裕資

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