2009 年、HASUNAを創業して2カ月が経ったころだ。当初の資金150 万円が底をつき、事業に反対していた父親に出資を願い出たのだ。彼女は父親をはじめ、親戚を中心に10 人から600 万円を集めた。そうまでして彼女が打ち込むHASUNAとは、製造工程で人や自然環境に配慮したジュエリーを扱うブランドである。白木は学生時代、国際協力などを学ぶために英国の大学に留学。そのとき、インドの大理石採掘現場で貧困の現実に直面した。児童労働、環境破壊、貧困といったさまざまな社会問題が、宝石の採掘現場には横たわっている。「この問題を解決したい」。心に強くその想いを抱いた白木は、問題解決のためにビジネスの手法を学んだ。その結果、たどり着いたのが、生産や製造の過程が可視化されたジュエリーである。
白木は言う、「つける人もつくる人も幸福にする。HASUNAが追い求めるのはそんなジュエリーです」。
ターニングポイントは?
いまがまさにターニングポイントです。私たちが目指すべきことが
やっと明確になってきました。いよいよ、これからです。
メンターもしくは尊敬する人
緒方貞子、Elif Shafak、Coco Chanel
家族構成
夫、子ども1人
メッセージ
これからも世界中の人とともに、さらに高いレベルのものづくりに挑戦していきたいです。
白木夏子◎ロンドン大学卒業後、国際機関や金融業界を経て、2009年4月に株式会社HASUNAを設立。13年3月には、新宿伊勢丹本店に3号店オープン、11月には本店を表参道へ移転するなど事業の幅を広げている。同年、世界経済フォーラムにも参加。著書に『女(じぶん)を磨く言葉の宝石』(かんき出版)などがある。