CONTRIBUTOR

山岡 浩巳

金融から紐解く、世界の「今」

日本銀行決済機構局長。1986年東京大学法学部卒業。1990年米国カリフォルニア大学バークレー校ロースクール修士(LL.M)。ニューヨーク州弁護士。日本銀行パリ事務所、同調査統計局景気分析グループ長、同企画室企画第一課調査役、同金融機構局参事役・大手銀行担当総括、IMF日本国理事代理、バーゼル銀行監督委員会メンバー、日本銀行金融市場局長などを経て現職。 1982年筑波大付駒場高卒。

  • グローバル金融危機10周年 世界はここまで変わった

    「十年ひと昔」と言われるが、2008年当時、政策当局の最大の関心事は、グローバル金融危機や欧州で発生したソブリン危機からどうやって脱却するかということであった。また、その際の金融規制の一つの大きな課題は、巨大化していた銀行の「システミックな重要性」を抑制し、そのコントローラビリティを取り戻すことにあ ...

  • 巨大化するデータ企業と加速するデータの「マネー化」

    古代神話に巨人伝説は数多いが、現代の巨人といえば、米国のフェイスブックやグーグル、中国のアリババやテンセントなどの「データ・ジャイアント企業」が挙げられるだろう。ここ10年間で急成長したこれらの企業は、小売や通信、金融といった伝統的な産業分類の枠にはまりにくい。しかし、大規模なプラットフォームをもと ...

  • 金庫破りもサブプライムも仮想通貨も、リスクの芽は人間にあり

    「ファインマン物理学」の著者、ノーベル賞物理学者リチャード=ファインマン先生の趣味の一つは「金庫破り」であった。しかし、彼がどうしても破れない金庫を、次々と開けてしまう男がいる。すごいと思って聞いてみると、男は「多くの人々は工場出荷時の金庫のダイヤル番号をそのまま使っている。俺は金庫の製造会社に勤め ...

  • 「夢のお金」はどこにもない、仮想通貨の矛盾

    1987年に公開された伊丹十三監督の映画「マルサの女」は、脱税のため現金の流れを隠そうとする人々と、その流れを突きとめようとする国税査察官の攻防を描いている。パチンコ屋では現金にマジックで印を付け、「ラブホテルで、証拠の残るクレジットカードで払いたがる奴がいるか!?」と喝破するマルサの女。これらは、 ...

  • 技術革新の果実、生産性や賃金の上昇はどこに行ったのか?

    昨年も大いに話題を集めたフィンテックであるが、その成長への寄与には懐疑的な声もないわけではない。その典型が、「イノベーションが本当に起きているなら、世界経済の成長にも反映されるはずではないか? 技術革新がもたらしているはずの生産性上昇は、どこに行ってしまったのか?」といった主張である。ところで、「ど ...

  • 世界と日本の「フィンテック2017」 ─ AI、ICO、しぶとい銀行モデル

    iPhone Xが発売された今年は、iPhone登場から10年、さらに、ビットコインの基となったサトシ・ナカモト論文やグローバル金融危機など、フィンテックの契機となった数々の出来事からも約10年が経過した節目の年といえる。「インスタ映え」や「フェイクニュース」が流行語となった今年、フィンテックの世界 ...

  • 「ブレードランナー」から考える、クラスター化という現代の闇

    今年続編が公開されて再び話題を呼んでいる1982年公開のSF映画「ブレードランナー」は、2019年の近未来を、科学技術と、深い孤独や疎外が同居する世界として描いている。人形に囲まれて暮らす科学者、架空の記憶を必死に作り上げるアンドロイド、そして、自分を狙うハンターだけが、想い出を語れる唯一の相手にな ...

  • イノベーションと共に進む「人間のデータベース化」の光と影

    今から半世紀前に製作された特撮シリーズ「ウルトラセブン」の傑作の一つに、「第四惑星の悪夢」がある。これは、人間が作り出したロボットに人間が支配されるようになってしまった惑星の物語である。ロボット集団が、膨大なデータを中央コンピュータで完全に管理する中、プログラム通りに動けず記憶力も不完全な人間は、「 ...

  • ビットコイン分裂から考える、「情報技術は万能ではない」という事実

    古代アテネの直接民主制には、何か「理想郷」のようなイメージがある。全ての市民がアクロポリスの丘に集まり、職業政治家には頼らず、皆が対等の立場で意思決定に参加し、全員がその責任を負う。これこそ究極の民主主義ではないか、と。だが、アテネのやり方を深く研究したローマも、結局、直接民主制をそのまま採用するこ ...