CONTRIBUTOR

伊藤 隆敏

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政策研究大学院大学教授、コロンビア大学教授。一橋大学経済学部卒業、ハーバード大学経済学博士(Ph.D取得)。1991年一橋大学教授、2002年~14年東京大学教授。近著に『日本財政「最後の選択」』(日本経済新聞出版社刊)。

  • 「秋入学」変更で公平な機会を 賛否両論も

    5月4日、緊急事態宣言が5月末まで延長されることが発表された。13の特定警戒都道府県では、公立の小中高校は5月末までの休校が決まった。もちろん、宿題を出したり、NHKの学習プログラムを利用したり、自習は促しているものの、オンライン授業を行っているところは皆無だ。東京都渋谷区では小中学生に1人1台のタ ...

  • 賛否両論、グレタvsムニューシン財務長官

    1月末の行われた世界経済フォーラムム(ダボス会議)に、スウェーデンの環境活動家高校生、グレタ・トゥーンベリさんが登場した。地球温暖化問題を大人が真剣に考えて行動をとれ、温暖化ガスの排出を早くゼロにしなければ取り返しのつかないことになる、と訴えた。そして化石燃料への投資や補助金拠出をやめるように提案し ...

  • 大学入試制度変更の中止は大歓迎 最大のポイントは「公平性」

    「大学入学共通テスト」で新たに導入されるはずだった2つの目玉、「英語民間試験」と「国語・数学の記述式試験」が、相次いで中止となった。2019年9月号の本コラム、「やめよう!大学入試制度の変更」で、中止を訴えていたので、萩生田光一文部科学相の決定は、大歓迎だ。私のコラムが微力ながら中止に貢献したのかも ...

  • ESG投資への熱気を理解するための「3つの命題」

    本連載2019年8月号で、「環境(E)、社会(S)、企業統治(G)」を重視する「ESG投資」のうち、例えば、環境を汚す会社を外す「ネガティブ・スクリーニング」方式や、環境にやさしい企業だけを選別する「ポジティブ・スクリーニング」による投資戦略には、企業行動に影響を与えるような結果を出せないかもしれな ...

  • コーポレート・ガバナンス改善に逆行? 外為法改正の課題と教訓

    ニューヨークの投資家の間で、日本政府の対日投資の方針に対して疑心暗鬼が渦巻いている。10月18日、閣議決定され、現在開会中の臨時国会で成立を図る外為法改正案が、アクティビスト(物言う株主)締め出しを狙い、これまでのアベノミクスの成果であるコーポレート・ガバナンス(企業統治)強化に逆行する、という懸念 ...

  • 日本の出生数減少を防ぐ、方策と盲点とは

    厚生労働省の人口動態統計の速報によると、2019年1〜7月の出生数は、51万8590人と、前年同期比5.9%の大幅な減少となった。19年は90万人割れとなりそうだ。110万人割れが05年、100万人割れが16年なので、驚異的なスピードで少子化が進行中だ。対策を講じない限り、日本人の人口は限りなくゼロ ...

  • 憲法改正議論の「切り札」とは

    2012年12月に誕生した第二次安倍政権は、もうすぐ7年目を終えようとしている。19年7月の参議院選挙でも勝利し、衆議院を解散しなければ、21年の自民党総裁選、衆議院の任期満了選挙まで、選挙はない。あと2年、政策に集中できるはずだ。総理の任期の最長記録を見てみよう。複数回の総理在任の日数を合計する「 ...

  • 米中が対立するなか、日本は自由貿易の旗手になれ

    2019年の世界経済には暗雲が漂っている。何といっても、最大のリスクは米中貿易戦争である。トランプ米大統領は、二国間貿易赤字が巨額に上ることから、中国からのハイテク製品を中心として、3回にわけて関税を引き上げてきた。これに対して中国も、アメリカの農産品を中心に報復関税を課してきた。8月に入り、トラン ...

  • 「公平性」から考える、大学入試制度変更の問題点とは

    2020年度(21年1月実施)の入試から、大学入試制度が変更になる予定だ。現在のセンター試験が廃止され、大学入学共通テストとなる。次の2点が大きな変更である。第一に、英語では4技能(読む、聞く、話す、書く)を評価するようにする。そのため、会話の力や作文力を試すため、スピーキングや筆記のセクションを含 ...

  • 「ESG投資」は名ばかりか その問題点を考える

    「ESG投資」に関心を持つ企業経営、資産運用、年金基金が多くなってきた。ESGとは、Environment、Social and Governanceの頭文字をとったもので、「環境、社会、企業統治」と訳される。ESGというだけでは企業経営をどう変えたらよいのかわからないという経営者、資産運用先の選定 ...

  • 「終身雇用を守れない」発言の経団連への提言

    経団連の中西宏明会長が、新卒学生の通年採用を拡大することで大学側と合意する一方、「企業は従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」と発言して(4月22日)大きな話題となっている。終身雇用を前提とした採用は難しい、あるいは雇用を守るために事業継続をすることはできない、という意味で、「終身雇 ...

  • 日米の大学入試スキャンダル 「多様性」確保の内情

    日米で大学入試のスキャンダルがマスコミをにぎわしている。アメリカではヘッジファンドのオーナー、有名な女優などが、子供を有名大学に入学させるために巨額の賄賂を使ったというものである。この賄賂は、まず入試コンサルタントに支払われ、それが、大学のサッカーコーチなど体育会系コーチに渡り、富裕層の子供たちがス ...

  • 外国人観光客を増やした決断 羽田空港の国際化に鍵がある

    訪日外国人観光客(いわゆるインバウンド観光客)の増加が止まらない。2007〜12年まで800万人台で足踏みしていた訪日外国人数は、13年に1000万人台を超え、2年で倍増し、15年には約2000万人、18年には3000万人を超えた。18年中の訪日外国人は旅行中に一人あたり15.3万円消費して、全員で ...

  • 財務省作成のQ&Aは102項目も。やっぱりやめよう、軽減税率

    2019年10月1日から消費税率が8%から10%に引き上げられる。これに伴い、食品の税率が8%に据え置かれる「軽減税率」が導入される。軽減税率を推進したのは、一部の政治家だが、その理由は低所得層にとっては、食品の全消費財にしめる購入割合が高い(エンゲルの法則)ので、食品への課税を軽減することは低所得 ...

  • 東京金融市場は柔軟な発想で「10連休」を避けよ

    2019年1月3日早朝、ドル円相場が大きく動いた。109円台で推移していたドル円は、一気に104円台まで、5円近くも急騰した。すぐに、107円台に戻したものの数日後も109円には戻っていない。一時は急激な円高に、おとそ気分も吹っ飛んだ投資家も多かったのではないか。原因については、(1)米アップルの業 ...

  • 日米欧で瓦解する「中央銀行の独立性」

    中央銀行の「独立性」とは、政府(大統領、首相、財務大臣など)が、中央銀行の金融政策(とくに金利の水準や引き上げ、引き下げ)について「圧力」をかけないことを言う。「圧力」とは、たとえば金利調節について意見の異なる中央銀行総裁を罷免すると脅すことはもちろん、金利の上げ下げについて発言することも含まれる、 ...

  • ゴーン前会長の逮捕 日産、ルノーとフランス政府の関係はどうなるのか?

    2018年11月19日、カルロス・ゴーン日産自動車会長(当時)が、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕された。ルノー・日産・三菱自動車アライアンスの要の位置にいたゴーン元日産会長の突然の退場で、このアライアンスの行方が注目される。 日産は、1980年代のバブル景気時代には高い技術 ...

  • 大学入試の「公平性と多様性」

    日米で、大学の合否判定の問題が議論されている。問題の本質はかなり異なるのだが、政府も巻き込む問題になっており、主要メディアが取り上げていることから、考えてみることにする。文部科学省局長が、文部科学省からの補助金で便宜を図る見返りに、東京医科大学に息子を不正入学させてもらったという、受託収賄事件で7月 ...

  • 失業率2.4% 高圧経済から考える、日米の今

    日米ともに、実体経済がきわめて好調。しかし、インフレ率はなかなか上昇しないのは、一体なぜなのか。イエレン前FRB議長考案の「仮説」から紐解く。3月2日に発表された2018年1月の日本の失業率(季節調整値)は、2.4%(前月比0.3ポイント低下)。図1で示しているように、この水準は、バブル期末期の19 ...

  • 政府が春闘で目指す「3%の賃上げ」は合理的か?

    政府が春闘で産業界に要請する「3%の賃上げ」。この動きの背景を読み解くことを入り口に、「労働者の生産性」に着目して、本来あるべき賃上げの理想形を考える。安倍政権は、春闘における賃上げ率が3%になるように、経団連などに働きかけている。これは、インフレ率2%を達成してデフレ脱却を確実なものにするためには ...