アメリカの経営学者ジェイ・バーニーが1986年にに提示したのが「競争の型」の考えです。バーニーは企業の競争の型には3つあると述べました。
最後に「シュンペーター型」です。
IT(情報技術)業界のように、日進月歩で技術革新が起こり、顧客ニーズなどにも不確定要素が多く、参入障壁も低いという特徴があります。
最後にシュンペーター型の競争は、不確実性が高いため、他の2つの戦略のような、あらかじめ将来を予見しながら精緻に練られた戦略・計画が通用しません。
それよりも多くの“トライ&エラー”を重ねる中から環境の変化に応じてイノベーティブな製品・サービスを次々に生み出すことのほうが重要です。
経営学でいえば、いわゆるリアル・オプション理論がこれに近くなります。
リアル・オプションとは、簡単に言うと「不確実性が高いときには、少額でもいいから投資をし、小ロットでもいいからまずは製品やサービスを市場に出そう」という考えです。
小規模投資・小ロット生産でリスクを抑えながら、チャンスを逃さないための戦略ともいえるでしょう。
以下、シュンペーター型に合う戦略が学べる書籍を紹介します。
『リーンスタートアップ』エリック・リース/日経BP社/1,800円+税
起業や新規事業などの立ち上げ時にどんな要素に注力すればいいかを指南。不確実性の高いビジネスでは、小規模かつ短いサイクルで商品やサービスを生み出し続け、市場の反応と消費者のニーズを探り当てることが重要と喝破する。
『競争優位の終焉』リタ・マグレイス/日本経済新聞出版社/2,000円+税
「持続的な競争優位」を構築することで長期に利益を得ることが年々難しくなっていることを指摘。不確実性の高い競争環境においては、柔軟性のある経営資源をもって、市場や環境の変化への速やかな対応が必要という。
『ひらめきはカオスから生まれる』オリ・ブラフマン、ジューダ・ボラック/日経BP社/1,600円+税
シュンペーター型競争環境で勝負するにはクリエイティビティが必要。組織イノベーションがどのように起きたか、クリエイティビティが、どのように生みだされたかを著者がジャーナリスティックな切り口で論じる。