ショーの会期中に、米国のドナルド・トランプ大統領が、スイスからの腕時計を含む輸入品に31%の関税を課す方針を発表したにもかかわらず、金やプラチナ、宝石を使った時計が多数展示されている会場の雰囲気は、陽気で楽観的だった。時計業界のニュースサイト「WatchPro」によると、多数の時計ブランドを擁する主要三大グループの株価は揃って下落し、リシュモンが12.4%安、スウォッチ・グループが15.6%安、LVMHが13.4%安となった。
時計業界のトレンドとしては、いくつかのブランドが周年記念モデルやトリビュートエディションを発表して自らの伝統を称える一方で、自社の象徴的なコレクションに力を入れるブランドもある。
ロレックスは新コレクション「ランドドゥエラー」を発表し、ピアジェは新たなレディース向けコレクション「SIXTIE(シックスティ)」を発表した。伝統的な複雑機構であるパーペチュアル(永久)カレンダー(100年間に一度しか手動で調整する必要がない日付や曜日の表示機構)を搭載したモデルが多数展示され、さまざまな色味の青い文字盤と、天然石を用いたハードストーン文字盤が多く見られた。

特にジュエリーウォッチの分野では女性向け製品に注目が集まった。ケースの小型・薄型化が進んだことで女性向け腕時計の選択肢が増えている。ブルガリは機械式腕時計の最薄記録を更新し「オクト フィニッシモ 」に搭載した世界で最も小型のトゥールビヨン(地球の重力に影響を受ける時計の姿勢差による精度の狂いを補正・克服する複雑機構)を発表した。