つまり、ウクライナによるマルウェアの使用は、ドローン関連の技術でも繰り広げられているような技術競争を新たに引き起こす可能性が高い。ロシアも似たようなマルウェアを自軍のドローンやその他の機器に実装し始めるだろうし、双方はマルウェアに対抗するため安全プロトコルの導入やアンチウイルスソフトの開発を進めるだろう。そうなると、両国の技術者たちは、その新たな対策を無効にするさらに高度なマルウェアを開発することになる。
マルウェアをめぐるこうした攻防は、ドローンの優位性をめぐる争いにも新たな局面を生み出しそうだ。
過去3年、ロシアとウクライナの技術者たちは、それぞれ自軍の兵士たちが戦場で優位に立てるように技術開発でしのぎを削ってきた。ドローンへのマルウェア埋め込みは、鹵獲されたドローンの解析や再利用の防止を目的としたウクライナの最新のイノベーションである。
このイノベーションは、ロシアとウクライナの間で続くドローンの優位性争いだけでなく、双方がより高度なマルウェアを開発し、それをさらに多くのドローンに仕込んでいくなかで、両国のより広範な技術競争にも影響を及ぼす可能性がある。