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2025.04.16 08:15

AI対人間、ライティング業務は「使い分け」が大事

Getty Images

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社内文書からホームページの読み物コンテンツまで、企業の業務に関連する文章を書く仕事は多岐にわたる。このごろではAIも一人前の文章が書けるようになったことから、人間のライターからAIに「発注先」を変更する企業も出始めている。こうして人間のライターは絶滅していくのか。SEO企業の調査では、まだしばらくは大丈夫そうな結果が得られた。キーワードは「使い分け」だ。

SEOコンサルティングなどを展開するランクエストは、企業の現役SEO担当者134人を対象に、AIと人間のライターの使い分けについてアンケート調査を実施した。それによれば、AIと人間のライターを使い分けている企業はおよそ6割。ケースバイケースが約2割となった。

そもそも初っぱなからこの質問ということは、少なくともSEO分野においては、もはやAIに文章を書かせるのは当然という共通の認識が存在すると判断せざるを得ない。つねにAIに書かせているという企業は3パーセント、今は人間のみだがAIの導入を検討中と答えた企業が約4パーセントとまだ少数ながら、常に人間のライターに依頼していると答えた企業は1割弱と、きわめて稀少な存在になっている。

ではどう使い分けているのか。AIに書かせても問題ないと思う文章でもっとも多かったのは、社内マニュアルや内部資料。次が定型的な情報提供が中心の記事、SEO対策用の記事(量産コンテンツ)などとなっていた。SEO対策の量産記事とは、検索されやすいキーワードや読まれやすい長さなどの指定に従って制作され、短期間にどんどん発信される、検索エンジンからサイトに人を呼び込むための記事のことだ。条件や制約が多いため、AIのほうが効率的に対処できる。つまり、誰にでも書けてそれほどのクオリティーは求められないが、手間がかかるものをAIに書かせているということだ。

それに対してどうしても人間に書かせたい文章は、読者の感情を動かしたい記事、ブランドの信頼性が問われる記事、商品やサービスを深く伝える記事などが上位を占めた。共感、信用、訴求力という人の情に訴えるものはAIには難しいということのようだ。また、インタビューや体験談などの取材記事のような、読んで面白い記事にも人間のライターの力量が求められる。

こうして、今のところAIと人間のライターは仲よく共存している形になっているが、今後はどうだろう。人間のライターをAIに置き換えたいかという質問では、2割弱が「積極的に置き換えたい」と答えた。また、一部の記事ならAIに置き換える可能性がある、基本的に人間のライターを使い続けるがAIも活用したいとの回答があわせて約6割。全体で約8割がAIの活用に前向きだ。これはSEO分野に限った傾向ではないはずだ。

ランクエストは「ライティング業界は、すでにAIと人間が互いの長所を活かし合う共存の段階へ移行しており、今後さらにその傾向が強まっていく」としているが、AIの文章力は今後、指数関数的に成長して、人の情に訴える文章も瞬時に書き上げる能力を獲得するのは目に見えている。人間のライターのみなさんが生き残りを期するならば、よほど精進して文章力を磨くか(それが企業に求められるかどうかは別問題)、絶対に人間にしか書けない分野を開拓するしかないだろう。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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