欧州

2025.04.05 12:00

ロシア軍の装甲車両十数両がわかりきったルートで突撃、ドローンと大砲の餌食に

ロシアの国際軍事技術フォーラム「アルミヤ2016」に出展されたTMT-S地雷除去ローラー。2016年9月6日、モスクワ州クビンカ(ID1974 / Shutterstock.com)

ロシアの国際軍事技術フォーラム「アルミヤ2016」に出展されたTMT-S地雷除去ローラー。2016年9月6日、モスクワ州クビンカ(ID1974 / Shutterstock.com)

ロシアの対ウクライナ全面戦争が3年2カ月目に入り、両軍の損害が深刻化するなか、ロシア軍の連隊などが多数の装甲車両と歩兵からなる大規模な突撃部隊を編成するのは次第にまれになっている。

だが、ロシア軍の指揮官がウクライナ東部ドネツク州アンドリーウカ村方面の進撃に注力しているのは明白だ。アンドリーウカはロシア軍の占領下にあるクラホベ市の西、ウクライナの守備拠点であるポクロウシク市の南方に位置する。

3日かその少し前、装甲車両少なくとも12両、歩兵数十人を含むロシア軍部隊がアンドリーウカ方面に出撃した。しかし、この突撃部隊には重要な装備が不足していたらしい。たしかに、ロシア軍で払底してきている装甲車両は十分に揃えていた。だがどうやら、ローラーやプラウ(犂)、爆索を備えた地雷除去車両が足りていなかったようだ。

それが破滅的な結果につながった。

「ウクライナはアフガニスタンやシリアを超えて地球上で最も地雷の多い国になっている」。昨年11月、米陸軍訓練教義コマンドに寄せた論考に、著者のリチャード・ガルシアとコリン・コリーはそう記している。

ウクライナ軍による2023年夏の反転攻勢が行き詰まったのも、ロシア軍の地雷原が主な原因だった。ロシア軍によるその後の攻勢が少しずつしか進まず、途方もない犠牲を伴っているのも、ウクライナ軍の地雷が主な原因のひとつだ。

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の最近のレポートで、著者のジャック・ワトリングとニック・レイノルズはウクライナ軍の戦い方をこう説明している。「ウクライナ軍はその日の攻撃に使用されるルートを予測し(中略)、ロシア軍部隊を自陣への攻撃開始前の段階でたたくべく、対人地雷や対戦車地雷を敷設し、火力を準備するように努めている」

ロシア軍の突撃部隊は十分な地雷除去装備とそれを使用する時間があれば、ウクライナ軍が地雷原を設けている可能性があるルートであっても、そこを突っ切ろうとするかもしれない。一方、十分な地雷除去支援がない場合は、ウクライナ側が想定していると思われるルートを予想し、別のルートをとるしかない。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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