欧州

2025.04.05 09:30

ウクライナ軍によるロシアの大砲破壊が加速 1日で122門の損害報告も

撃破されるロシア軍の大砲(YouTubeのスクリーンショット)

撃破されるロシア軍の大砲(YouTubeのスクリーンショット)

ウクライナ軍はより効果的な探知・攻撃システムを活用し、記録的な数のロシア軍の大砲を破壊している。ここ数週間でそのペースは加速し、3月28日には過去最多の1日で122門もの損害が報告された。

ウクライナ軍は3月全体では1644門の大砲を撃破したと主張している。この数は1年半前のざっと3倍にのぼる。比較のための数字をひとつ挙げると、英陸軍に配備されている大砲の総数は200門程度だ。

ウクライナ側が主張している撃破数を検証するのは不可能だが、衛星画像は、ロシア軍が損失を補充するために引き出してきた結果、ソ連時代の装備の保管施設が空になりつつあることを示している。また、ロシア軍の大砲が撃破されている証拠映像はたくさんある。そして、170mmという変わった口径の大砲をロシアが北朝鮮から輸入していることは、ロシアがもはや自国だけでは十分な数の大砲を配備できなくなっていることを強く示唆する。

大砲の役割はだいぶ低下してきており、ロシア軍は前線の戦術火力で滑空爆弾をますます頼りにするようになっている。砲兵火力の減退には、目標の発見や射撃の調整を担う偵察ドローン(無人機)の損失、使用可能な砲弾数の減少など、いくつかの理由が重なっていると考えられるが、なかでも前線での大砲の破壊は大きな要因に思える。ロシア軍の大砲は絶滅の危機にあるのだろうか。

大砲を見つけ出す

この戦争まで、大砲の位置を特定する標準的な手段は対砲兵レーダーだった。対砲兵レーダーは普通、飛翔中の砲弾を探知・追跡できる巨大なレーダーアンテナを備えた大型の車両搭載システムである。弾道コンピューターが砲弾の経路をたどり、逆算して発射地点を数秒以内に割り出せる。

ロシアのザーパルク-1は典型的な対砲兵レーダーで、155mm砲弾なら23km、高機動ロケット砲システム(HIMARS)などのロケット弾なら45km、ATACMSのような戦術弾道ミサイルなら65kmの範囲で探知可能とされる。

しかし、こうしたシステムには大きな欠点が2つある。ひとつは、高価なために数が少ないこと。もうひとつは、レーダーの発する電波が探知され、居場所を特定されやすいことだ。ウクライナ軍の安価なFPV(一人称視点)ドローンが、1基2400万ドル(約36億円)するザーパルク-1を撃破する映像が見られるのもそのためだ。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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