「逆も然り」の意味とは?
言葉の成り立ちと基本的なニュアンス
「逆も然り(ぎゃくもしかり)」とは、「ある事柄が当てはまるなら、その反対の状況についても同様のことが言える」という意味を表す表現です。たとえば、「AならB」という関係が成り立っているとき、同じ文脈で「BならA」も同じように適用できる、というニュアンスを簡潔に伝える際によく使われます。
日常会話でもビジネスシーンでも、対比や相互関係を強調したいときに便利なフレーズです。たとえば「部署間の情報共有が乏しいと効率が下がるし、その逆も然りで、連携が強いほど成果が出やすい」というように、片方の状況がもう片方にも当てはまることを強調する際に用いられます。
日常やカジュアルな場面での使い方
「逆も然り」はやや硬めの印象を伴うため、普段の会話では「逆もまた同じだよね」や「それは裏返しでも言えるよね」といった表現が代わりに使われることもあります。とはいえ、少しインテリジェンスを感じさせる言い回しとして重宝することがあり、友人や家族との会話でも、論理的な説明をするときに自然に取り入れられます。
ビジネスシーンでの活用
ミーティングやプレゼンでのポイント
会議やプレゼンテーションで意見を述べる際、ある前提条件を示してその影響を説明する場面は多々あります。「この施策を行えば売上が増えますし、逆も然りで、施策をやめれば売上機会を逃す可能性が高いです」といった形で使うと、両方向のリスクやメリットを端的に伝えやすくなります。
特に、「正」「反」の両面を提示するときに「逆も然り」というフレーズを挟むことで、相手にわかりやすいロジックを展開しやすくなります。論点を整理したうえで、一方の状況だけでなく反対側も同じロジックが成り立つことを強調するのに最適です。
交渉や調整の場面
ビジネス交渉において、相手の条件や自社の要望が相互に影響を及ぼすケースは多々あります。たとえば「こちらが納期を短縮できれば、コストは増加します。逆も然りで、コストを抑える場合は納期が延びる可能性があります」というように、二つの条件が因果関係によってつながっていることを伝えたいときに有用です。
このように「逆も然り」を使うことで、「どちらを選んでも、それに応じた結果が返ってくる」という意味合いを明確に打ち出すことができます。お互いの主張を整理するうえでも、対比をわかりやすく示す助けとなるでしょう。
類義語・言い換え表現
主要な類義語一覧
「逆も然り」と同様に、二つの要素が相互に関係していることを示すための表現には、以下のような類義語やフレーズが挙げられます。
- 裏返せば同じことが言える
- 逆もまた同じ
- 反対の立場でも成り立つ
- 裏を返せば、同様に~
- 双方向的に考えると~
これらは「逆も然り」と近い意味合いを持ち、状況に応じて言い換えることで、文脈や相手への印象を微調整できます。たとえば、少しカジュアルな場面では「逆もまた同じ」や「裏返せば同じことが言える」のほうが柔らかいニュアンスを伝えられるでしょう。
言い換え例
ビジネス文書やプレゼンテーションで「逆も然り」を使いたいが、もう少し平易な表現を選びたい場合、以下のような言い換え方が可能です。
- 「この施策が成功すれば利益が伸びます。その逆も然りで、失敗すれば大きな損失を被る恐れがあります。」
⇒「この施策が成功すれば利益が伸びます。一方で、失敗した場合は大きな損失が発生するリスクが高まるのも事実です。」 - 「ユーザー満足度が上がればブランド力が高まります。逆も然りで、クレームが増えるとブランドイメージが損なわれます。」
⇒「ユーザー満足度の向上はブランド力の向上につながりますが、その反面、クレーム増加はブランドイメージを低下させかねません。」
このように、「逆も然り」という部分を別の構造に言い換えながら、両面の可能性を指摘する文章へと仕立てると、多様なコミュニケーションで使える表現にアレンジできます。
「逆も然り」を使った例文
ビジネス文章での使用例
- 「当サービスを導入すれば、人件費が削減できます。逆も然りで、導入しなければ過剰なコストが発生する可能性があります。」
- 「A案で進める場合は早期リリースが実現します。逆も然りで、B案を選択するとスケジュールが遅延しがちになると想定されます。」
上記の例文は、相手に二者択一の状況や、ある選択の「ポジティブ面」と「ネガティブ面」を両方示すときに適しています。文章中に「逆も然り」を挿入することで、二つの結果が密接にリンクしていることを端的に伝えられます。
会話での使用例
- 「この新規プロジェクトに参加すればスキルアップにつながるけど、逆も然りで、参加しないとチャンスを逃す可能性が高いね。」
- 「クライアントとの関係をしっかり構築できれば継続案件が増える。逆も然りで、連絡が疎かだと他社に流れてしまうリスクがあるよ。」
いずれも、状況を説明しながら、その反対側も同じように適用されることを簡潔に示しています。会話で活用する場合は、口調をやや柔らかくするとスムーズに伝わるでしょう。
注意点
使いどころを見極める
「逆も然り」は便利な表現ですが、あまり多用すると文章や会話が回りくどく感じられる可能性があります。特に、シンプルに要点を伝えたい場面で無理に「逆も然り」を入れようとすると、かえって論理がわかりにくくなる恐れがあります。二つの側面を明確に指摘したいときに使うのが基本です。
また、聞き手や読み手によっては「逆も然り」の意味がピンとこない場合もあります。オフィス全体での会議や広報資料など、より多くの人が読む文書の場合には、類似表現で言い換えてわかりやすくすることも選択肢の一つです。
まとめ
「逆も然り」は、「一方の状況が成り立つのならば、その反対の状況も同様に成り立つ」という意味合いを端的に伝える便利なフレーズです。ビジネスの現場では、意思決定やリスク説明などで、二つの相反する可能性が共存する状況を示したいときに役立ちます。
ただし、使いどころを誤ると話が回りくどくなる恐れもあるため、「対比を強調する」「両面の因果関係を指摘する」といった明確な意図を持って利用することが肝心です。また、読み手や聞き手によっては、より平易な表現への言い換えが必要になるケースもあるでしょう。状況や相手の理解度に合わせて言葉を選ぶことで、論理的で伝わりやすいコミュニケーションを実現できます。