限定的な影響
ウクライナは、数百kgの爆薬を積んで千数百km飛行できる軽量スポーツ機改造型を含め、これまでに多種多様な長距離ドローンをつくり出してきた。さらに、国産のネプトゥーン(ネプチューン)巡航ミサイルの射程1000km版も開発し、最近初めて実戦使用した。
ウクライナはこれらのディープストライク兵器のかなりの割合を、エンゲリス2のような弾薬保管施設に対する攻撃に用いている。こうした攻撃はしばしば巨大な火柱を生じさせ、その劇的な画像がソーシャルメディアに投稿されることになる。だが実際には、軍事的効果が乏しく、むしろウクライナ人らの溜飲を下げる面が大きい場合も少なくないようだ。
ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトは最近のレポートで、昨年9月から今年2月までに記録されたウクライナによる遠距離打撃の半数超は「限定的な影響」しかもたらさなかったと評価している。この期間の攻撃にも弾薬庫を狙ったものが多く含まれる。
フロンテリジェンス・インサイトによれば、より頻繁に、また軽量の攻撃ドローンよりも重い弾薬を使って攻撃すれば、ロシアに持続的なダメージを与えていけるかもしれないという。
しかし、ウクライナはロシアの兵站を狙った集中的な作戦を展開するには、外国製の最も高性能な長射程弾が不足している。具体的に言えば、英国製のストームシャドー巡航ミサイル、そのフランス版のSCALP-EG、そして米国製のATACMS弾道ミサイルだ。ウクライナはまた、ネプトゥーンをはじめとする国産の高性能な長射程弾もまだ十分な数生産できていない。
ここ数カ月、ウクライナの攻撃計画者たちが目標をシフトさせ、ロシアのデリケートで経済的にきわめて重要な石油インフラに対するドローン攻撃を増やしているのは、理由のないことではない。彼らは、弾薬庫の被害よりも石油産業の被害のほうが最終的にはより大きな影響をおよぼすことを期待しているのだ。
たとえ、弾薬庫に対する攻撃ほど派手な画像を生み出さなくとも。