アジア

2025.03.26 14:00

インドネシア政府系ファンド、米著名投資家のレイ・ダリオや元首相を顧問に起用

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インドネシア政府が2月末に立ち上げた政府系投資ファンドのダナンタラ・インドネシアは3月24日、米国のヘッジファンドマネージャーであるレイ・ダリオや、タイ元首相のタクシン・チナワットらを顧問に任命したと発表した。

このファンドは、9000億ドル(約135兆円)以上のインドネシアの国有資産を管理するもので、再生可能エネルギーや先進的製造業、食料生産などの分野に戦略的投資を行うとされている。インドネシアのプラボウォ大統領は、2029年までに同国の年間経済成長率を最大8%に引き上げる目標を掲げているが、このファンドは、その目標を達成するための主要な手段に位置付けられている。

しかし、ダナンタラの立ち上げは、ガバナンス体制に対する懸念から投資家の不安を招き、傘下に入る国営銀行の株価の急落を引き起こしている。証券会社サミュエル・セクリタス・インドネシアのマネージングディレクターであるハリー・スーは、「書類上は良い名前が並んでいるように見えるが、最も重要な課題はガバナンスだ。このファンドが意思決定において政治的干渉から自由でいられるかどうかは、今年末まで様子を見ないと分からない」と述べている。

世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツを創業したダリオは、タクシンとともにファンドの顧問を務めることになる。タイ元首相のタクシンは、2006年の軍事クーデターで政権を追われたあと、2023年8月に、事実上の亡命生活から帰国した。彼は、現在タイの首相を務めるペートンターン・チナワットの父親でもある。

タイのGDPは、タクシンの指導下で拡大していた。「彼は、ASEAN諸国への投資にあたって我々に異なる視点を与えてくれるだろう」と、ダナンタラのCEOロサン・ルスラニは述べている。

フォーブスの推定で21億ドル(約3160億円)の資産を保有するタクシンは、自身が率いるSCアセットを通じて高級不動産を所有しているほか、遺伝子検査などを手掛ける英国のスタートアップのDNANudge(DNAナッジ)などにも出資している。

一方、1975年にブリッジウォーターを創業したダリオの資産は140億ドル(約2兆1000億円)とされている。ブリッジウォーターは現在約1120億ドル(約16兆8600億円)の資産を運用している。

ダナンタラは、ダリオとタクシンのほかに元インドネシア大統領のジョコ・ウィドドとスシロ・バンバン・ユドヨノらを諮問委員に任命している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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