2024年4月8日に皆既日食が北米大陸を横断してから太陰暦でちょうど1年(354日)を迎える今週、北米では再びすばらしい日食の眺めが期待できる。
日食は新月の日、すなわち月が太陽と地球の間にあるときにしか起こらない。つまり、日食を挟んだ1週間は、月が夜空から姿を消すため星空観察に最適な条件がととのう。3月最終週は、まもなく西の地平線にすっかり沈んで半年間にわたり雲隠れしてしまう冬の明るい星たちの、最後のきらめきを堪能するのにおあつらえ向きだ。
3月29日(土):部分日食
米北東部、カナダ東部、欧州の一部で部分日食が観測できる。最もよく見えるのはカナダ東部(ケベック州、ニューブランズウィック州)と米北東部(ニューイングランド州、メイン州)の海岸沿いで、日の出前に日食が始まり、太陽の最大94%が欠けた細い三日月状の朝日が昇る「日出帯食(にちしゅつたいしょく)」が見られる。

観測可能な地域と時間は、世界時計アプリtimeanddate.comで確認できる。残念ながら、日本からは見えないので、オンライン中継などで楽しもう。
3月30日(日):糸のように細い二日月
新月の翌日は、可能な限り若い月を見ることに挑戦したい。西の地平線の視界が開けた場所なら、日没直後の低空に、糸のように細い上弦の月を見つけられるかもしれない。月が空にあるのはごく短い時間だけで、双眼鏡があったほうがいいだろう。上空に明るく輝く木星を目印に、その下の地平線近くを探してみよう。

今週のアステリズム(星群):冬の大三角
国際天文学連合(IAU)が定めた公式の星座は88個だが、星と星を結んだ形に名前を付けた、いわば非公式の星座は他にもたくさんある。アステリズム(星群)と呼ばれるこれらは、天体観測や方角を知るための目印として、星座と同様かもしくはそれ以上に重要視されてきた。
おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のベテルギウスの3つの1等星を結んで形づくられる「冬の大三角」もそのひとつだ。冬の夜空を数カ月にわたって支配してきたこの明るい星たちは今、日の入り後の南西の空に見えているが、それも長くは続かない。別れのときは近い。プロキオンの右上には火星が、ベテルギウスの右側には木星が輝いている。
