米ファストファッション大手「FOREVER 21(フォーエバー21)」の運営会社が3月16日に破産申請を行い、米国の全店舗の閉鎖を進めている。Temu(テム)やSHEIN(シーイン)のような中国発の格安インターネット通販大手との競争に苦戦した同社は、2019年にも経営破綻しており、これが2度目の破綻申請となった。
フォーエバー21は、米デラウェア州で連邦破産法第11章の適用を申請したと16日の声明で発表し、米国内の事業を「秩序あるかたちで清算する」と述べている。
同社のウェブサイトは引き続き運営され、店舗では在庫処分セールが実施される予定という。また、フォーエバー21の国際的な知的財産を所有する米ブランド管理会社のオーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)は、他の事業者にブランドをライセンス供与する可能性があるとしており、フォーエバー21は、一部または全資産の買い手を探していると述べている。
フォーエバー21の最高財務責任者(CFO)のブラッド・セルは、TemuやSHEINといった「外国のファストファッション企業」との競争の激化によって、同社が「持続可能な道を見出すことができなかった」と述べた。また、これらの低価格を売りとする競合が、米国のDe Minimis(デミニミス)ルールと呼ばれる800ドル(約12万円)以下の少額輸入品に対する関税を免除する措置の恩恵を受けていると指摘した。
セルはまた、同社がコストの上昇や、顧客層に影響を及ぼす「経済的課題」、そして「消費者トレンドの変化」にも苦しんでいたと語った。
ロイターによると、フォーエバー21は米国で約350店舗を展開しており、世界全体では540店舗を運営中だと述べている。
調査企業GlobalDataの小売アナリストのニール・ソーンダースは先週、フォーエバー21が「かつてのような存在感を取り戻す道はないだろう」と指摘した。また、同社がSHEINの台頭によって大きな打撃を受け、Temuの影響も受けたと述べた。さらに、Zaraやユニクロなどの競合が増える中でフォーエバー21のアイテムの新鮮味がなくなり、多くの顧客が購入を見送ったり、「より安価にオンラインで購入できるものにシフトした」と分析した。
1984年に設立されたフォーエバー21は、低価格の衣料品を提供し、H&Mやアバクロンビー&フィッチらと競争していた。同社の売上高は、2005年に10億ドル(約1500億円)に達し、2015年には40億ドル(約6000億円)を超えた。しかし、その後の数年間でオンライン小売の台頭により業績が低迷した。
2019年にも破産
フォーエバー21は、2019年9月の破産申請時に米国内で最大178店舗を閉鎖したが、さらに、コロナ禍で実店舗の営業が停止した影響も受けた。その後、ABGとサイモン・プロパティ・グループが2020年2月に同社を8100万ドル(約121億円)で買収した。
ABGのジェイミー・ソルターCEOは、小売業界専門メディアRetail Diveに対し、「フォーエバー21の買収は、おそらく私が犯した最大のミスだった」と語り、SHEINとTemuの脅威を予見できなかったと振り返った。
フォーエバー21は、過去にSHEINと提携し、同社の店舗でSHEINの商品を販売するとともに、同社の商品をSHEINのオンラインストアで販売する取り決めをしていた。また、この提携の一環として、SHEINはフォーエバー21の運営会社であるスパークグループの約3分の1の株式を取得し、同グループもSHEINに出資していた。