ロシア西部クルスク州でロシア軍のルビコン先進無人技術センターの精鋭ドローン(無人機)部隊が、ウクライナ軍突出部の中心地だったスジャ町の守備隊を支える主要補給線に対する攻撃を激化させ、甚大な損害を与え始めたのは2月23〜24日ごろのことだった。
それから2週間ほどたった3月10日か11日、ウクライナ軍はクルスク州から撤収し始めた。ウクライナ軍部隊が包囲されたというドナルド・トランプ米大統領の主張は虚偽だが、ウクライナ軍はクルスク州の一部を7カ月占領した末に敗北し、同州からの撤退に追い込まれた。
クルスク州でのロシア軍の勝利に重要な役割を果たしたのがルビコンのドローン部隊だった。アナリストのアンドルー・パーペチュアは、ルビコンは「高度なドローン戦術を駆使している」と指摘している。そうした戦術を示す証拠映像もある。
たとえばパーペチュアが12日に共有した動画には、ロシア軍のFPV(一人称視点)攻撃ドローンが、ウクライナ軍の補給トラックが頻繁に通っていたとみられる道路付近の上空に飛来する様子が映っている。ドローンがこの映像を操縦士側に送信したのは無線通信を通じてだったと思われるが、光ファイバーケーブル経由だった可能性もある。道路には車両の残骸がいくつか転がっているのが見え、この道路が危険だったことを物語っている。
操縦士はドローンを滞空させるのでなく、いったん道路脇に着陸させ、攻撃すべき車両が通り過ぎるのを待たせた。飛行するのでなく地上で停止することで、ドローンは貴重なバッテリーを温存した。
When I say Russian Rubicon pilots will lay down drones to set up traps, this is what I mean. pic.twitter.com/bh3WuTtSNn
— Andrew Perpetua (@AndrewPerpetua) March 12, 2025
技量と経験、計画
やがてウクライナ軍の車列がドローンの前を通過する。ドローンは離陸して車列を追跡し始め、その一両、荷台に物資を満載したピックアップトラックめがけて突き進んでいく。ドローンからの映像は途切れるので、目標に命中したのかどうかははっきりしない。いずれにせよ、目標のすぐそばまで接近したのは確かだ。
これは新しい戦術というわけではない。ウクライナ軍の優秀なドローン操縦士たちも以前から、ドローンを目標区域に着陸させている。とはいえ、こうした戦術は操縦士の技量と入念な計画を必要とする。無線操縦のドローンを誤った場所に着陸させれば、操縦士との接続を失いかねない。光ファイバー誘導のドローンを誤った場所に着陸させれば、ごく細い光ファイバーケーブルは絡まってしまうおそれがある。
ルビコンのドローン操縦士たちは明らかに、手の込んだ待ち伏せ攻撃の一環でドローンを着陸させるのに必要な技量と経験をもっている。ルビコンの部隊の攻撃方法はこれだけでない。「彼らはドローンを道路に着陸させ、車両が通過するとその下で起爆するという、対戦車地雷のような罠も仕掛ける。おそらく、上向きの成形炸薬を使用しているのだろう」とパーペチュアは書いている。