個人的には驚きの結果という訳ではないが、批評家に酷評されたネットフリックス映画『エレクトリック・ステイト』は、公開後、視聴者から高いスコアを獲得した。同作品は批評家からのスコアが14%という評価で、映画『REBEL MOON』シリーズの両作品よりも低い評価だった。
現在のところ、『エレクトリック・ステイト』の視聴者スコアは76%で、批評家スコアよりもかなり高い。
このようなことは、これまでにも何度もあった。ドウェイン・ジョンソン(ザ・ロック)、ライアン・レイノルズ、ガル・ガドットが出演する『レッド・ノーティス』はネットフリックス史上最も視聴された映画となったが、その批評家スコアは37%と悪かった一方で、視聴者スコアは92%だった。『エレクトリック・ステイト』の監督を務めたルッソ兄弟による『グレイマン』は、批評家スコア45%、視聴者スコア90%だった。
また、時折これが逆の結果になることもある。すばらしい映画『セキュリティ・チェック』の批評家スコアが87%だった一方で、視聴者からは51%という惨憺たるスコアを獲得したのを見て、私は少し困惑した。正直に言ってなぜなのか理解できない。
しかし、『エレクトリック・ステイト』にはユニークなキャッチがある。ネットフリックスはオリジナル・コンテンツに多額の資金を費やすことは有名だが、報道されたところによれば、この映画の製作費は3億2000万ドル(約476億円)とされ、これまでの作品と比べても高額だ。クオリティはさておき、単純に映画を観るだけでは、CGIが多用されていようがいまいが、スクリーンに映し出された内容だけで考えると、その製作費の高さは少し信じがたい。
ネットフリックスは間違いなく、この映画の成功を望んでいるはずだ。伝統的な興行収入は望めないかもしれないが、レオ・ディカプリオとジェニファー・ローレンスが出演した『ドント・ルック・アップ』、ジュリア・ロバーツの『終わらない週末』、ライアン・ゴズリングの『グレイマン』など、A級スターが出演する映画が並ぶオールタイム・トップ10リストに、この作品がランクインすることを望んでいることだろう。『ストレンジャー・シングス』のミリー・ボビー・ブラウン、そして映画界のスターであるクリス・プラットが出演していることを考えれば、この映画も上記の作品群と同じカテゴリーであるはずだ。
まだ公開から1週間も経っていない今、『エレクトリック・ステイト』の実際の評価を判断するには時期尚早すぎる。同作品はネットフリックスの映画ランキングで1位(翻訳記事執筆現在、日本では2位)を獲得しているが、これは驚きではない。ドラマのランキングにおいて各地域で1位を総なめしたネットフリックスドラマ『アドレセンス』と同じく、同作品も各地域の映画ランキングで1位を多く獲得しており、力強いスタートとなったことは間違いないだろう。
私は以前、この映画を酷評したレビュー記事を書いたが、私個人としての評価は今も変わらない。しかし、時には批評家と視聴者の意見が大きく異なることがあり、ネットフリックスでは他の場所よりもそれが頻繁に起こるのかもしれない。