検事らはウーバーの競合であるリフト社についても同様な提訴を実行し、昨年12月に罰金25万ドルの判決を下した。ウーバー社側は「弊社の犯罪履歴照会システムは十分機能しており、“業界で最先端の仕組み”をとっている」と反論している。
検察側の主張によると「ウーバー社はロサンゼルス国際空港で違法な乗車行為を行っており、運転手の中には過去に重大犯罪を犯した者や飲酒運転を行った者が22名含まれている。また、3名の運転手が本名を偽って業務に就いている」とのこと。
これに対しウーバー側は「過去7年に渡る履歴照会で、そのような者が業務に就くことを許可していない」と反論している。
サンフランシスコの検事、ジョージ・ガスコンは「ロサンゼルス地区だけでも、多数の犯罪者が同社に勤務している証拠をつかんだ。これは氷山の一角に過ぎない」と発言した。
検事側の主張では「運転手の採用にあたっては指紋認証や生体認証が必須であり、ウーバー社の履歴照会はこの基準を満たしていない。別の選択肢として多くのタクシー会社で利用されている、Livescanと呼ばれるシステムもある」とのこと。さらに「過去7年間の犯罪履歴照会のみでは十分ではない」と述べている。
その根拠として検察側は、「1982年に第二級殺人で起訴された者がウーバー社に勤務していた事例」「1992年に14歳以下への性犯罪で逮捕された運転者」「1999年に銃器を用いて営利目的誘拐を行った者が勤務していた事例」などを挙げている。さらに「2011年に強盗を行った犯人。2011年に覚せい剤を販売していた人物」などが含まれているという。
検察側は今回の提訴を「消費者保護の観点から必要な措置」であることを強調しているが、ウーバー側は「過去7年という期間の履歴照会は、法で許された最大の期間だ」と反論。検察側はこの主張に同意していない。
「カリフォルニア州の法律では、過去7年以内に保釈または釈放された人物は、それ以前の犯罪履歴照会も可能だ」というのが検察側の主張だ。また、ウーバー側は「性犯罪者リストとの照会も行っている」というが、このリストからは3万人分の名前が嘆願により削除されているという。
ウーバー側はカリフォルニア州の司法判断に関し次のようにコメントしている。
「今回の司法判断は犯罪者の社会復帰に関しても重大に関わる問題だ。乗客の安全と犯罪者の社会復帰という問題を鑑みて、7年間という期間は適正なバランスにある」
ウーバー側は検察側が推奨するLivescanシステムに関しても、「弊社の履歴照会システムに優るものではない」と主張。「どの方法をとろうとも、100%正しい結果が得られるものではない」としている。
ウーバー社側は過去にタクシードライバーとして勤務していた600名を、2014年に同社の履歴照会により不合格にしたと発表した。その中には数十名の性犯罪者らが含まれていた。彼らはタクシー会社のLivescanチェックを通過していた、と主張している。