米国では2024年に、建設業や熟練を要する専門職など従来男性が担うことが多かった分野に参入しようと、多くの女性が起業したようだ。ローカルビジネスのレビューサイトYelp(イェルプ)がこのほど発表したレポートによると、女性の起業家が1万5000以上の住宅関係の事業を立ち上げ、2年連続で記録的な増加となった。こうした変化は、これまで男性中心だった分野で女性が活躍の場を広げていることを反映している。
女性起業家たちは2024年もさまざまな業界で存在感を示した。これまでYelpに登録されている女性経営の事業所は50万強だったが、昨年はそこに数万が加わった。サービス業における新規事業の立ち上げに関するYelpの最新レポートによると、女性が昨年、住宅関係部門で立ち上げた事業数は1万5016だった。この数字は、従来女性の起業が多い美容サービス分野で女性が昨年立ち上げた事業1万609を上回る。 オーナーが「女性経営」と自己申告した事業のデータを基にしたYelpの分析によると、住宅関係は女性経営のサービス事業の中で2年連続で最も増えた部門だった。
全国平均を上回る成長
住宅関係部門において、最も増えた女性経営の事業は外壁工事や空気ダクトの清掃、暖炉のメンテナンスなど。加えて、配管や石材加工、コンクリート工事、家電修理といった従来は男性中心だった分野でも、女性の起業が全国平均を上回るペースで増えている。
女性経営の住宅関係の事業の増加率には、建設業や熟練を要する専門職に従事する女性の割合が依然としてかなり低いことが影響している可能性がある。米労働省労働統計局(BLS)によると、2022年の建設業従事者における女性の割合は4%未満、設備やメンテナンス、修理の職業に就く女性の割合はわずか4%強だった。極めて少ないため、女性による起業がわずかに増えるだけでも増加率は大きくなる。
それでも、事業主や従業員としてこれらの分野に参入する女性が大幅に増えていることがデータで示されている。昨年、建設業で新たに雇用された7人に1人は女性だった。また、見習いプログラムの参加者の約14%が女性で、2014年のほぼ2倍となった。労働省は昨秋、見習いプログラムや従来の職業観念にとらわれない職業に就く女性を増やすための採用や研修、定着の支援に600万ドル(約9億円)を拠出すると発表した。