しかし、同社の主力製品であるHorizon Worlds(ホラインゾンワールド)の現状をみれば、なぜこの部門が過去数年間で約700億ドル(約10兆6000億円)もの損失を出したのかが即座に理解できる。
以下に示すのはHorizon Worldsの新しい広告だ。以前のバージョンと比べてキャラクターに足が生えただけでも一歩前進なのかもしれないが、マーク・ザッカーバーグが以前約束していた大規模アップデートとはほど遠く、仮想世界というには極めて酷い仕上がりになっている。広告のテーマは「バレンタインデーに相手がいない人のサポートグループ」だ。
This is Meta’s brand new ad for Horizon Worlds. Not sure how I’m supposed to feel about it. pic.twitter.com/psktJehk1f
— Nathie (@NathieVR) February 16, 2025
「私たちは、これまでで最高の製品ラインナップを市場に投入して、AIを活用したウェアラブル製品をあと6つほど発売することで優位性を強化します。販売や定着率、エンゲージメントを総合的に伸ばす必要がありますが、特にMR(複合現実)の分野が重要です。そして、私たちの長期的な計画を実現するには、モバイル版Horizon Worldsが絶対にブレイクしなければなりません」
どのようなデバイスだとしても、どうすればこれが意義あるかたちで拡大するのかがまったく想像できない。いったい誰に向けたものなのか。VR愛好家でさえ、こうしたよくわからない体験よりは、実際のビデオゲームをプレイしたいと思うだろう。そもそもVR自体、依然として比較的ニッチな市場にとどまっている。これがメタの壮大な共有空間のビジョンだとすれば、PS2時代を思わせるキャラクターがおもしろみのない広告でただ腕を振り回しているだけに見える。
実際、Horizon Worldsのページにある動画をいくつか見ても、どれも質が低いままだ。さらに悪いのは、サムネイルや事前にレンダリングされた動画では、実際のワールド内よりはるかに見栄えのいいアバターが登場し、誤解を招きかねない点である。本気で、同ページにあるワールド内映像を使用した動画を見てみてほしい。これが彼らの見せられる最高のコンテンツなのだと考えると、不思議でならない。
もはやメタがこのプロジェクトをすべて投げ捨てて、AI分野にさらに資金を投入するのは宿命のように思える。AIには大きな問題があるとしても、こちらのほうがまだ有意義な成果を生む可能性が高い。正直なところ、ここまで事態を放置してきたこと自体が信じられない。
(forbes.com 原文)