マーケット

2025.02.15 10:00

第2次トランプ政権下で、金価格は1オンス「3000ドル」に到達するか

Alexander Limbach / Shutterstock

Alexander Limbach / Shutterstock

金価格は上昇傾向にある。需要の好調を背景に、米国時間2月10日には、1オンス2900ドル(約44万7000円)の過去最高値を更新した。

高騰を支える要因はいくつかある。米ドルの不安定性や、経済の不確実性。そして、トランプ政権の保護主義的貿易政策、関税、政府支出の増加を背景に、安全な避難先となる資産への需要が高まっていることが挙げられる。加えて、現在進行中の地政学的緊張や、各国の中央銀行の政策も、金価格の変動に影響を与えている。

金価格は、過去1年で40%上昇

多くの国々の中央銀行、とりわけ中国、ロシア、トルコなどの新興国は、金備蓄を増加させている。この背景には、経済制裁への懸念や、米ドルへの依存度を下げるという全体的戦略がある。

加えて、米連邦準備銀行は2024年に複数回にわたって利下げを実施し、2025年も同様の見通しだ。低金利は金保有の機会費用を下げるため、投資家にとって金の魅力は増している。

最後に、AI(人工知能)を利用するテクノロジーや電子機器(マザーボードやGPUなど)で金の使用量が増加していることも、全体としての需要を押し上げている。AIデータセンターの建設には、部品のためにかなりの金が必要であり、これが需要増加を引き起こしているのだ。

金価格は1オンス3000ドルに達するか

多くのアナリストは現在、金価格が2025年中に1オンス3000ドル(約46万3000円)を突破すると予想している。第2次トランプ政権においては、市場の不安定化が予想される。トランプ氏が提唱する経済政策は、減税や関税など、インフレの加速と貿易赤字の増加につながる可能性があり、これらはいずれも、概して金価格を引き上げる。

連邦準備銀行は2025年に利下げに踏み切るとみられ、これによりドル安が進行すれば、金は、通貨価値低下に対するリスクヘッジとして魅力を増すだろう。加えて、インフレ圧力は依然として続いており、米国の債務は大幅な増加が予想されている。

産金業界の国際団体であるワールド・ゴールド・カウンシルは、政府支出、貿易赤字、国家債務の増加により、金が資産の安全な避難先として好まれるだろうとしている。さらに、世界各国の中央銀行は金備蓄を記録的水準まで増やし、需要を加速させている。

一方で、我々は先日、金価格が30%下落する可能性についても論じた。このように、金価格は上昇が保証されているわけではなく、短期的反発は起こり得る。しかし、マクロ経済と地政学の不確実性を鑑みれば、リスクヘッジを求める多くの人々にとって、金は魅力的な投資先であり続けている。

forbes.com 原文

翻訳:的場知之/ガリレオ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事