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2025.01.14 08:00

2024年に金価格は「26%上昇」、今年もこの勢いは継続するか?

Lemonsoup14 / Shutterstock

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2024年の商品取引の最終日。ある貴金属が、かなり目覚ましい上昇を記録して一年の取引を終えた。その貴金属とは、金(ゴールド)だ。

2024年12月31日のアジアでの取引終了時の金の終値は、1オンスあたり2626.80ドル。1年間で26%あまりの上昇となる価格だった。この年間上昇率は今世紀屈指の高さであり、2010年以来では最大の幅だ。ドバイのスポット価格は、それよりもわずかに安い、1オンスあたり2614ドルだった。

金価格は、2024年の大部分を通じて記録的な上昇を続けた。10月31日には史上最高となる1オンスあたり2790ドルにまで上昇し、その後は落ちついた。大幅な上昇の年となった主な理由は、2024年後半に米連邦準備制度理事会(FRB)が実施した利下げにある。

不安定な世界で安全な避難場所を探す投資家たちは、利回りを生む資産ではないにもかかわらず金地金に大挙して資金を投じ、熱狂的な需要をかきたてた。

複数の中央銀行も同様だ。2008~2009年の世界的な金融危機のさなかの動きを思い起こさせるこうした動きは、低金利環境への移行を示している。

「金価格の上昇」が2025年も続く理由

金価格の行方を左右する第一の要因は、言うまでもなく、米国の金利展望だろう。FRBは9月、11月、12月に急速な利下げを実施したが、2025年には利下げのペースをゆるめる、とも示唆している。

とはいえそれは、必ずしも金価格の上昇に終止符を打つわけではないかもしれない。ドナルド・トランプ次期大統領の貿易政策は、インフレの動向をめぐって注目の的になる可能性がある。金利の方向に影響を与え、ドミノ効果として金価格にも影響するかもしれない。

高金利は、投資家にとって金の魅力を低下させる可能性もあるが、一方で金は、急激なインフレに対する防衛策ともみなされるだろう。

2024年第3四半期には、金の購入が減速したとはいえ、各国の中央銀行をはじめとするあらゆる方面からの支持が続く可能性はある。

中央銀行は、2025年にも「金に貪欲」な姿勢を保ちそうだ。オランダ発祥の大手銀行INGのエコノミストによれば、その先頭を走るのは、インド準備銀行とポーランド国立銀行だという。

2025年に、金価格が3000ドルに到達する可能性は?

中東からウクライナまでの無数の地政学的リスクや、米国と中国の関係悪化の可能性も、金価格を支えることになるだろう。したがって、ドル高と米国の利下げ減速は、必ずしも金価格の上昇を終わらせないかもしれない。

金価格の変化のダイナミクスは、2024年のコモディティ市場全般における大きな驚きの1つだった。中国における経済成長の減速によって、金以外の金属が(貴金属や工業用金属を含めて)おおむね苦戦するなか、金は、年末にかけて持続的な上昇を記録した。

市場の話題はいま、金価格が「1オンスあたり3000ドル」という、心理的な影響をもたらすしきい値に到達するか否かに移っている。金価格の上昇と投資家の意欲はとどまるところを知らず、現在の金価格は、その大台に手が届きそうなところにまできている。

ゴールドマン・サックスやバンク・オブ・アメリカを含めた多くの観測筋は、とりわけ2025年後半には、金価格がその域に達する可能性はあると考えている。

もちろん最終的には、2025年前半のマクロ経済や地政学的状況が金価格の先行きを左右することになるが、多くの人は、すでに高価な金は今後も価格上昇が続く可能性が高い、と注意深く見守っている。

forbes.com 原文

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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