このモジュールは電磁誘導発電方式。コイルの中で磁石を動かすと電気が発生する原理を応用している。エレキギターの弦を弾くとピックアップのコイルが電気を発生させる、あの仕組みだ。つまり、運動を電力に変換するシステムだ。

以前に三菱電機が開発した電磁誘導発電モジュールと比較して、このモジュールは同じ動きで発電できる電力がじつに1万倍以上というから驚きだ。圧電素子を床に埋め込み、人が歩くときの振動を電力に変える「床発電」の実験が各地で行われているが、三菱電機もこのモジュールを使って実験を行った。
それによると、同社が開発した圧電方式の床発電装置に比べて100倍となる200ミリワットを発生した(30センチ角の床板を1秒間に2回踏んだときの出力)。これを使うと、床を1回踏んだだけで温度センサーの温度データの無線送信が可能だった。
しかもこの床発電装置は床板と発電素子が非接触なので(エレキギターの弦とピックアップの関係)、どんなに動いても摩耗しない。圧電素子の床発電装置の場合は、素子に直接振動を加えなければならないため、いずれ劣化して壊れてしまうという課題があったが、電磁誘導発電なら劣化の心配がない。

なによりも、この大きな出力は画期的だ。同社の風車を使った実験の動画では、木の葉が揺れる程度の風速3メートルの風で5ボルトの電力を発生させる様子が見られる。エネルギーハーベスティングの利用範囲がぐっと広がりそうだ。
プレスリリース