テクノロジー

2024.10.29 16:45

超高層ビルの屋上で風力発電 ビルの消費電力プラマイゼロを目指す

プレスリリースより

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風は高度100メートルで地上の2倍の風速になるとされている。となれば超高層ビルの屋上を風力発電に利用しない手はない……と思うが、それにはさまざまな課題があり日本では行われてこなかった。その実証実験が、国内で初めて行われる。

風力発電装置の開発を行うチャレナジー、大成建設、三井不動産は共同で、超高層ビルの屋上での風力発電の実証実験を2025年4月から1年間実施する。実験の舞台は、高さ約150メートルの横浜三井ビルディング。風力発電によく使われるプロペラ式の発電機は、騒音や振動があり、設置には広い面積を必要とするなどの理由で、市街地やビルの屋上での使用は難しい。そこで採用されたのがサポニウス式と呼ばれる風車だ。
千葉県長生郡睦沢町役場の駐車場に設置され外灯などの電源に使われているチャレナジーのサポニウス式風力発電装置’(チャレナジー公式ホームページより)

千葉県長生郡睦沢町役場の駐車場に設置され外灯などの電源に使われているチャレナジーのサポニウス式風力発電装置’(チャレナジー公式ホームページより)

サボニウス式風車は、1920年代にフィンランドの技師シグルド・サボニウスが発明したものだ。垂直軸に取り付けられた円筒形のローターが回転する。プロペラ式と違ってどの方向から風が吹いても回る仕組みで、軽量小型で設置面積が小さくて済むという特徴がある。また、騒音や振動が少なく、鳥が巻き込まれる事故も減らせる。公園などに設置されているのを目にした人もいるだろう。チャレナジーも、「災害に強い次世代小型風車」としてサボニウス式風力発電装置を提供している。

この実験は、「風量や発電量などの取得データをさらなる技術発展に活かすとともに、設置時における課題・要件を明確化すること」を目的としている。ゆくゆくはこの技術開発を通じて、超高層ビルの屋上風力発電で市街地のZEB(省エネと創エネでエネルギー消費量が正味ゼロになる建物)の実現、災害時のBCP(事業継続計画)対応などに貢献するということだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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