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テクノロジー

2025.02.11 11:00

安全なバックドアはない、英国によるアップルへの要求はiPhoneに最悪の状況を招く

shutterstock.com

電子フロンティア財団(EFF)は次のように警告している。

「政府のために作られたバックドアは、すべての人々をハッキングや個人情報窃取、詐欺などのリスクにさらすことになります。一度バックドアを作れば、開かれた民主的な政府だけがそれを使うという世界は存在しません。抑圧的な政府が抗議者や反対派の通信を読むのに使う可能性があり、しかもすぐにそうなるでしょう。私たちは長年この種の措置に反対してきましたが、今回も変わりません」

では、なぜこれが思っているよりも悪い出来事のか。あくまで私見だが(誰も公式にはコメントできないため、「見解」しか共有できない)、このような措置はアップルだけで終わらない。話を単純化しすぎるかもしれないが、悪意ある者は弱体化されたiPhoneに対してグーグルの「Androidへの切り替え」ツールを使えばいい。イギリスがアップルを狙うなら、グーグルやメタ、その他の企業も標的になるはずだ。そうしない理由はない。しかしソ連式とも言うべきか、それらの他社も一切コメントや質問への回答、肯定や否定ができない状況に置かれる。

こうして、私たちをスパイウェアやハッカー、データ漏洩から守ってきた重要な堤防が弱体化される。一つの場所で始まれば、やがて全域へ波及するのだ。アップルが被る損失は最も大きく、iPhoneの根本的な価値観を変えてしまう。それゆえ、この問題がアップル中心に取り沙汰されているのは当然だが、しかし、今こそ断固とした態度を取らなければならない。

私はEFFに同意する。「暗号化は、サイバー攻撃とセキュリティ侵害が絶えないデジタル世界において、私たちのプライバシーとセキュリティを取り戻すための最良の方法の1つです。『善意の人』だけがアクセスできるように暗号化を弱める方法など存在しないのです」

今回の皮肉は、アメリカ政府が暗号化に対する姿勢を変えたことにある。中国のソルト・タイフーン(Salt Typhoon、中国政府、特に国家安全部に関連しているとされる高度な脅威グループ)がアメリカのネットワークをハッキングした事件を受け、国民は可能な限り暗号化を利用するよう推奨された。あの騒動が教えてくれたのは、バックドアは必ず悪用されるということだ。正当な理由で設けられても、誤った目的に使われる。誤解してはならないが、もしアップルがこのアップデートを阻止できなければ、それは極めて危険な道の始まりにすぎない。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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