江口:米国展開は、河原さんがいたからこそ進められました。当社の名刺をもってもらい、社員のように米国に出張して、市場調査や投資家向けピッチなどの活動をしていただいた。そのおかげで、有力な代理店を通じて輸出する今のかたちをつくれました。
河原:海外で本当に事業をしようと思ったら、3年ぐらい準備期間が必要なのです。起業家がやる気になった時点から3年だと時間がかかり過ぎてしまうので、その前からいろいろ手を打っておくのが大事だと思い、本業の合間で静かに準備を進めてきました。この先、他地域への販売や、新事業が積み上がっていくことが楽しみです。
江口:眼科にはいろんな検査がありますが、これまでは検査ごとに専用の機械が必要でした。これに対して、「アイモvifa」はプラットフォーム型のデバイスで、ソフトウェアを追加するだけで、新しい検査ができるようになります。現在は、緑内障の視野検査と白内障のコントラスト感度検査が可能ですが、25年にはもう3つほどの機能を追加していきます。視野検査機ではなく、「視機能評価機」として発展させていきたい。
河原:自虐的かもしれませんが、医療機器の領域は、スタートアップ的なキラキラ感のある世界ではありません。でも、きらびやかである必要はなくて、一つひとつのプロセスを地道に積み重ねていくことがいちばんです。気がついたらクリュートの製品が世界中に浸透しているという未来を実現してほしいですね。
かわはら・みきお◎東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)パートナー。凸版印刷を経て、理化学研究所発バイオベンチャーの理研ジェネシスCOOや、大阪大学発ベンチャーBNAのCEOを歴任。2016年に東大IPCの立ち上げに参画。
えぐち・てつや◎クリュートメディカルシステムズ代表取締役。1986年から2008年まで、大手精密機器メーカーのHOYAにて、レーザー応用医療機器製品の企画、開発・技術、薬事、営業などに携わる。13年、クリュートメディカルシステムズ設立。