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経済・社会

2025.01.28 08:15

トランプ氏が金正恩氏との接触に意欲、日本が恐れる「令和のニクソン・ショック」

Photo by Kim Jae-Hwan/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

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トランプ米大統領は23日に放映されたFOXニュースとのインタビューで、北朝鮮の金正恩総書記に「再び接触するだろう」と語った。トランプ氏は何を狙っているのだろうか。かねて、ノーベル平和賞の受賞に強い意欲を示してきたトランプ氏が狙うのは、米朝国交正常化だろう。

第1次トランプ政権下の2019年2月、ハノイで行われた米朝会談は決裂した。寧辺核施設の放棄と引き換えに制裁の大幅な緩和を求めた金正恩氏に対し、トランプ氏は「寧辺+α」の放棄を要求し、合意はまとまらなかった。

ただ、当時の日米韓の各当局者らの証言によれば、トランプ氏は会談の途中、北朝鮮の提案を受け入れるそぶりも見せていた。慌てたポンペオ国務長官らがトランプ氏を説得し、譲歩をさせなかったという。「強い人間(独裁者)とディールしたい」というのが、トランプ氏が持つ欲望の特徴だ。関係政府の当局者は当時、トランプ氏の心情について「どうして金正恩氏がディールしないのか、理解できないようだ。ディールすれば、平壌にトランプ・タワーを建てられるのにとも思っていた」と語っていた。

一方、金正恩氏もハノイから平壌に戻る列車の中で、「どうにも、トランプの計算法がわからない」と周囲に不満を漏らしていたという。十分に核開発をし、米国を脅したつもりが、合意できなかったからだ。金正恩氏は2021年から国防改革5カ年計画を始めた。開発のメニューは、超大型(多弾頭)の核弾頭、極超音速ミサイル、原子力潜水艦など。いずれも、米国のミサイル防衛システムを打ち破るためのものだ。金正恩氏は昨年末、「米国に超強硬的態度をとる」と語った。今年末に終了する国防改革5カ年計画に集中し、「核のボタン」を可能な限り大きくして、トランプ氏を脅すつもりだ。

米国も慌てている。米ランド研究所スタントン財団のベンジャミン・ヤング核セキュリティーフェローは、北朝鮮に全面的な非核化を求める政策は現実的ではないと指摘する。ヤング氏は「北朝鮮が保有する核兵器の備蓄量を減らし、多弾頭などの開発制限に焦点を当てるべきだ」と語る。これは、トランプ氏が掲げる「米国ファースト」の発想にぴったりだ。「米本土を守るため、すでに北朝鮮が保有している核兵器の一部や中・短距離弾道ミサイルは認めましょう」と言っているに等しい。

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文=牧野愛博

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