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経済・社会

2025.01.28 08:15

トランプ氏が金正恩氏との接触に意欲、日本が恐れる「令和のニクソン・ショック」

Photo by Kim Jae-Hwan/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

実際、トランプ氏は20日の就任早々、北朝鮮を「核保有国」と呼んだ。韓国などでは「北朝鮮が核を持っている現状を語っただけで、核保有国の地位を認めたわけではない」という楽観的な意見も出ているが、そんなに状況は甘くない。すでに1期目に米朝首脳会談を行い、その都度、ブリーフィングを受けて来た人間の発言だ。意図的だとみるのが自然だろう。

そして、ノーベル平和賞だ。トランプ氏はかつて「安倍晋三首相がノーベル平和賞候補に推薦してくれた」と大喜びで語るなど、受賞に強い意欲を隠さない。北朝鮮を核保有国として認め、米朝間の懸案事項はなくなったとして、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に切り替え、国交正常化を狙うつもりだろう。そのくらい、踏み込んで予想しておかないと、トランプ外交に振り回されることになる。

外務省幹部も「米朝関係が」とは言わないが、「我々が一番恐れているのは、ニクソン・ショックの再来だ」と語る。1971年7月、キッシンジャー米大統領補佐官は極秘に訪中。ニクソン大統領はキッシンジャー氏の帰国後、極秘訪中の事実と大統領自身が近く訪中する考えを発表した。当時の外務省幹部たちは「これが米国のやり口か」と憤慨し、怒り狂っていたという。トランプ氏は独裁者と戦うふりをしながら、最後に手を握る。その相手はプーチン・ロシア大統領かもしれないし、習近平・中国国家主席かもしれないが、金正恩氏の可能性も大いにある。

日本政府は依然、トランプ氏に対して「日本の国益とは何か」を打ち込めていない。日本は北朝鮮とも全くパイプをつくることができていない。このままでは、何の情報も得られずに、突如として米朝に出し抜かれる事態も十分ありうる。北朝鮮が「米国と国交正常化した。日本はどうするんだ」と言ってきたとき、果たして、「核とミサイルと拉致問題などの懸案を解決してから、国交正常化する」と、いつものようなお題目を唱えていられるだろうか。

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文=牧野愛博

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