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経済・社会

2025.01.21 17:15

「トランプが嫌いだった3首脳」から学ぶトランプ2.0との付き合い方

Photo by Anna Moneymaker/Getty Images

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第2次トランプ米政権が20日、発足した。トランプ氏は発足前からカナダやメキシコ、中国などへの高関税を宣言し、デンマーク自治領グリーンランドやパナマ運河獲得への野心を語るなど、世界を震撼させてきた。特に、「日米同盟一本足打法」などと揶揄されるなど、対米依存が強かった日本にとって「対トランプ処方箋」の発見は喫緊の課題だ。

第1次政権では、安倍晋三元首相がトランプ氏と親交を深めたのがあまりにも有名だったが、では、トランプ氏が嫌っていた首脳は誰だったのか。当時、ホワイトハウスの高官が日本の外交官に内緒で教えてくれた人物は次の3人だった。メルケル独首相、習近平中国国家主席、そして文在寅韓国大統領だった。

メルケル首相は常に正論を吐く人物として、トランプ大統領は煙たがっていたという。「強い指導者とディールして成果を得るのが好き」とされるトランプ氏は当初、習近平氏に好意的な感情を持っていたが、中国による様々な脅威に直面した末、最終的に衝突した。「自分にこびない人物」として不快に思ったのかもしれない。それでも、多くの専門家は、トランプ氏が再び、習氏とディールを試みるのではないかと予測している。このパターンは、ロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩総書記との関係にも当てはまる。

文在寅氏の場合、対日外交でもそうだったが、自我を強く出し過ぎてトランプ氏と衝突した。韓国は2017年11月、トランプ氏を国賓として迎えたが、演出でかなり失敗した。米国大使館は「大統領の好物はハンバーガーやケチャップ、招待客にはゴルファーなどを入れたらどうか」と助言したが、出て来たのは、独島エビとカルビ、招待客には元慰安婦も含まれていた。米側は当時、「日韓の争いごとに我々を巻き込むつもりか」と激怒していた。

一方、安倍氏がトランプ氏と親密な関係を構築した背景にはいくつかの要因が挙げられる。ひとつにはコミュニケーション・チャンネルの構築に成功したことだ。トランプ氏の娘婿、ジャレット・クシュナ―氏を仲介役とし、大統領就任前からトランプ氏との面会にこぎつけた。また、外務省幹部は、安倍・トランプ会談の外交記録を読み返しているとして、「会話の端々に、安倍氏の機転を感じて勉強になる」と語る。事務方の「これだけは伝えてほしい」「これは譲ってはいけない」という助言を外さないことはもちろん、「安倍首相はどんな会話をすれば、トランプ氏が喜ぶのかをよく心得ていた」(同)という。

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文=牧野愛博

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