ウクライナに対するロシアの全面戦争が4年目に入ろうとするなか、ロシア軍はこれまでに凄まじい損害を出している。にもかかわらず、なお火力でも兵員数でも劣り、守勢にあるウクライナ軍は、ロシア軍の指揮統制を混乱させることでその攻撃を鈍らせようとしている。
12日かその少し前、ウクライナ軍が東部ドネツク州ポクロウシク市のすぐ南東のノボフロジウカ市で行った攻撃は劇的だった。ウクライナ軍のドローン(無人機)が上空から監視するなか、ロシア軍の第2親衛諸兵科連合軍が指揮所を置いていたとされる高層アパートの廃墟に、ロケット弾か爆弾、もしくは巡航ミサイルが直撃した。
Supernova shares a likely video of a strike on the command post of Russia's 2nd Guards Combined Arms "Army" in Novohrodivka, Donetsk region, earlier today. The explosion was so powerful that the floors of a five-story building collapsed, and clouds of dust rose hundreds of meters… pic.twitter.com/LFAKp2pFNq
— WarTranslated (Dmitri) (@wartranslated) January 12, 2025
今回の攻撃によるロシア側の人的損害に関する情報はまだないものの、相当な規模だった可能性がある。映像によれば、被弾した高層アパートの一区画全体が崩壊したようだ。1カ月あまり前、北東へ40kmほど離れたトレツク市で、ウクライナの特殊部隊が集合アパートを爆破した荒々しい作戦を想起させる。
ノボフロジウカは、ポクロウシクにじりじり迫っているロシア軍の攻勢の最前線に位置する。ドネツク州におけるウクライナ軍の前線の要で、すでに砲爆撃で荒廃しているポクロウシクを落とすことは、開始から2年11カ月近くたつこの戦争でロシア軍の目下の主要目標のひとつだ。ウクライナ軍にとっては、この都市を守り抜くことが目下の最優先目標のひとつだ。
十数個の旅団や連隊を抱える第2諸兵科連合軍がノボフロジウカに陣地を構えていることは、ポクロウシクのウクライナ軍守備隊にとって悪い知らせだ。増援に送られた第155独立機械化旅団が到着前に崩れ出してしまったため、守備隊は新たな増援を切実に必要としている。
ノボフロジウカからロシア軍は、短射程の自爆ドローンを含め、ほぼすべての間接照準兵器でポクロウシクを攻撃できる。
一方、ポクロウシクのウクライナ軍も、ノボフロジウカのロシア軍に向けて短射程弾を発射したり、多数ある監視ドローンを飛ばしたりできる。監視ドローンは、指揮所の爆破などにつながっていく「キルチェーン」の最初の環だ。
近日中にポクロウシクをめぐる戦いの主戦闘が始まり、さらに多くのロシア軍部隊が市に近づいてくるのにともなって、ロシア軍の指揮官や幕僚もまた接近してくるだろう。
ウクライナ軍は彼らを見つけ出し、ロケット弾やミサイル、爆弾で攻撃すべく手ぐすねを引いているに違いない。
(forbes.com 原文)