欧州

2025.01.14 12:30

クルスク州の教会にウクライナ軍のブラッドレーが来襲 ロシア人「恐れるな」と祈る

Shutterstock.com

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ロシア西部クルスク州の村、ポグレブキの外れにたたずみ、絵のように美しかった教会は、混沌とした戦いの現場になった。ウクライナ軍はこの天使首ミハイル聖堂の先へ進むことを固く決意している。ロシア軍はそれを必死に阻もうとしている。

装甲車両が機関砲を連射する。ドローン(無人機)が爆弾を落とす。歩兵は地下に身を潜める──。

ここ数日、天使首ミハイル聖堂周辺で繰り広げられている戦闘は、ウクライナ軍が昨年8月以来侵攻しているクルスク州での戦いの全般的な傾向を示している。ロシア軍は、ウクライナ軍を現在650平方kmほどの広さの突出部から駆逐すべく攻撃している。ウクライナ軍は局所的な反撃で対抗している。

その戦闘は過酷なものだ。両軍の間で、メートル単位で測られるような前進・後退のせめぎ合いが続いている。

10日かその少し前、おそらく天使首ミハイル聖堂周辺でおそらく1日かそこら激しい戦闘が続いていたあとに、ウクライナ軍第47独立機械化旅団の所属とみられる米国製M2ブラッドレー歩兵戦闘車1両がこの聖堂に向けて進撃し、25mm機関砲で射撃した。

1ポンド(約0.45kg)弾が炸裂するなか、ロシア兵らは聖堂の地下に退避した。ロシアのある軍事ブロガーは「ウクライナ軍の歩兵がわが軍の歩兵を仕留めようとしている」と報告している

このブロガーは聖書のイザヤ書の一節も引用した。「恐れるな。わたしはあなたと共にいる。たじろぐな。わたしがあなたの神だから。わたしはあなたを強め、あなたを助け、わたしの義の右の手で、あなたを守る」

とはいえ、クルスク州での戦いに「義」らしきものは何もない。ここでは2万人規模のウクライナ軍が6万人規模のロシア・北朝鮮連合軍と戦っている。北朝鮮兵は、投降するくらいならみずから手榴弾のピンを抜く構えだとも伝えられる。

ドローンが四六時中いたるところにいるので、装甲車両、とりわけロシア軍の装甲車両が掩蔽(えんぺい)陣地から出るのはきわめて危険になっている。そのため歩兵が徒歩で攻撃に向かうことが多くなっているが、それもたいてい多数の死者を出す。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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