年末休暇中に、以前プレイして途中で諦めてしまったいくつかのゲームを再び始めてみた。ベセスダ・ソフトワークス(代表作に『フォールアウト』シリーズや『The Elder Scrolls(エルダー・スクロール)』シリーズがある大手ゲーム開発会社)の宇宙探索RPG『Starfield(スターフィールド)』(過去に2度プレイを試みた)を始めて約20時間、ようやくおもしろくなり始めたと感じている。
最近のゲームは、驚くほどプレイ時間が長い。『バルダーズ・ゲート3』、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』、『ペルソナ5』、『ウィッチャー3 ワイルドハント』のような超一流RPGをクリアするには、優に100時間以上かかることもある。これらのタイトルのメインストーリーだけでも、クリアに20~50時間かかるのだ。
昔はそうではなかったが、近年、ゲームのプレイ時間は長くなる傾向にある。そして批評家やプレイヤーが指摘するように、これらのゲームは、たとえすばらしくても、「おもしろい部分」にたどり着くまでにとてつもなく時間がかかることがある。
私にとって、『スターフィールド』の最初の15時間はとてつもなく退屈だった。もし私がベセスダ・ソフトワークスの過去のゲームを愛していなかったら(そして『スターフィールド』がXbox Game Passでプレイ可能でなかったら)、再び挑戦することはなかっただろう。
一部のゲームは、難易度が高いために、なかなか入り込めない。新しい操作方法を覚え、新たなスキルを磨くことは、圧倒されるように感じられることもあるだろう。
しかし、概して私が『スターフィールド』や『ドラゴンエイジ』のような最近のRPGに没頭するのが難しいと感じたのは、これらのゲームが最初の1時間以内にプレイヤーを惹きつけるためのストーリーテリング戦略を用いていないからである。
これは、他のストーリーテリング媒体やジャンルのやり方とは大きく異なる。小説執筆においては、冒頭の一文が非常に重要となる。
出版業界に関する著書『ベストセラー・コード』の中で、マシュー・ジョッカーズとジョディ・アーチャーは、ベストセラーの最初の文は重要なフックであり、「『語り口』と『葛藤』の組み合わせ」であり、読者にもっと読みたいと思わせる必要があると述べている。
例として、ジョン・グリシャムの『原告側弁護人(The Rainmaker)』の冒頭の一文を見てみよう。「My decision to become a lawyer was irrevocably sealed when I realized my father hated the legal profession.(弁護士になろうという不退転の決意が固まったのは、父が法律関係者を嫌っていることをはっきり知らされたときだった。[白石朗訳])」20語足らずで、グリシャムは権威ある語り口を確立し、語り手を紹介し、父と息子の間の葛藤を暗示することで、好奇心を掻き立てている。私たちは「こいつは何者なのだ?」と知りたくなる。