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小説に学ぶ、現代のゲームには「より良いオープニング」が必要だ

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このような冒頭の一文は単純に見えるかもしれないが、実際に書くのは難しい。説明に頼らずに、わずかな言葉の中に個性と興味深さを詰め込むのは至難の業だ。こうした冒頭の一文は疑問を投げかけ、答えを明かさない。

ゲームも同様の手法を用いることができるし、実際に行っている。ベセスダ・ソフトワークスの過去のゲームの1つである『The Elder Scrolls V: Skyrim(スカイリム)』は、ベストセラーの手法をいくつか取り入れている。最初の15分間は葛藤に満ちており、プレイヤーが答えを知りたいと思うような疑問を投げかける。

あなたは処刑場へ向かう荷馬車の中で目を覚ます。他の囚人が斬首されるのを目撃する。そして、あなたの番がくる。あなたは跪き、斧が振り下ろされようとした瞬間、ドラゴンが近くの建物に降下し、すべてを破壊し始める。あなたは逃げ出し、必死に走る。

プレイヤーと帝国軍兵士の間だけでなく、プレイヤーとドラゴンの間にも未解決の葛藤がある。まだ自分を守る術がないという事実が、スキルを磨く理由を与えてくれる。なぜ自分が投獄されたのか、そして自分がこの世界にどのように関わっていくのかという疑問を抱きながら、プレイヤーはゲームの世界に足を踏み入れるのだ。

一方、『スターフィールド』は、プレイヤーが宇宙採掘クルーに参加し、異星人の遺物を発見するところから始まる。海賊が現れてその遺物を奪おうとする。あなたは彼らをやすやすと打ち負かして宇宙船を手に入れる。そして、ほとんど何でも好きなことができるようになる。ゲームは、あなたの興味をそそるようなキャラクター構築をあまり行わないまま、完全な自由を同時に与えるのだ。

多くのゲームが50時間以上のプレイ時間を要することを考えると、オープニングが後回しにされるのは理解できる。プレイヤーはロケーション、キャラクター、ゲームシステムを理解するための時間がたっぷりあるからだ。しかし同時に、しっかりとしたオープニングがなければ、プレイヤーは自分のキャラクターの動機を理解するのが難しい。たとえ『スターフィールド』のような大規模なRPGであっても、書き出しの一文に相当する部分にもっと注意を払えば、これらのゲームがおもしろく感じられるようになるまでにかかる時間が20時間よりも短縮されるかもしれないのだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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