彼が最近最も注目しているのは再生可能エネルギーだ。チュジンスキーは、これまでにAmperecloud(アンペアクラウド)やSolarize(ソラライズ)など、太陽光エネルギー生産者向けのソフトウェアを開発するスタートアップに出資している。「エネルギー分野の変革に対する巨大なニーズがある。我々は、エネルギー転換のためのソフトウェアに注目している」と彼は言う。
ポーランドからドイツへ
チュジンスキーは、ユニコーン企業とは縁遠いポーランドのジェロナ・グラで建設技師として働く両親のもとで育った。ドイツの高校に入学するために16歳で家を出た彼は、ヴィアドリナ欧州大学でビジネスを学び、そこでルカシュ・ガドウスキーに出会った。チュジンスキーはガドウスキーに誘われ、彼が運営するオンラインTシャツプリント会社、スプレッドシャートで働くことになった。チュジンスキーにニアニアへの投資を促したのはガドウスキーだ。チュジンスキーがベルリンに引っ越した後、2人は2008年に起業家のコルヤ・ヘーベンストレイトと組んでチーム・ヨーロッパという会社を設立した。同社のビジネスモデルは、フェイスブックやグルーポンといった米国で成功したスタートアップのクローンを生み出していたスタートアップ・インキュベーターのロケットに似ている。「模倣者の模倣のようなものだった」とヘーベンストレイトは笑いながら話す。
チュジンスキーは、2009年に3社目のスタートアップを売却したばかりのヤンツと出会い、2011年に2人でポイント・ナインを設立した。彼らの最初の投資先の1つは、ガドウスキーの新たなプロジェクトであるフードデリバリーのデリバリー・ヒーロー(2017年に53億ドルで上場)だった。
ポイント・ナインは、その後も着実に新規投資とエグジットを続けた。チュジンスキーは、2019年の欧州版ミダスリストで23位にランクインし、2021年は15位、昨年は6位、そして今年はトップに躍り出た。
彼は、ポーランドよりも長くドイツに住んでいるにも関わらず、自らを移民と呼ぶ。彼の母国とベルリンは、共に大きな変貌を遂げた。ポーランドの1人当たりGDPはほぼ倍増し、市長がかつて慢性的な失業率のために「貧しいがセクシーだ」と述べたベルリンは、今や欧州最大のハイテク・ハブの1つに成長した。
「この変化は、欧州におけるテック・エコシステムの発展と同じくらい信じられないことだ」と彼は語った。
(forbes.com 原文)