北米

2024.12.26 08:00

米国のインフレ再燃が「バイオ企業」に特に巨大な打撃となる理由

2024年12月18日、ワシントンD.C.の連邦準備制度理事会(FRB)で開催された連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で発言するFRBのパウエル議長(Alex Wong/Getty Images)

一方、バイオテクノロジーのスタートアップは、大手の製薬会社との取り組みで、契約を結んだ際の一時金に加えて、新薬開発における重要なマイルストーンを達成した場合に数百万ドルを得られるBiobucks(バイオバックス)と呼ばれる契約形態をとる場合が多いが、ここでも、予想を上回る金利が影響を及ぼすとヘラルは指摘する。

「トランプ関税」が利下げの障害に

「ディールの件数は減少するかもしれないが、支払額は横ばいか、増加する可能性がある」と彼は述べている。なぜなら、大手の製薬会社は、アーリーステージのスタートアップよりも、説得力のある臨床データを持つレイトステージの企業との契約を望む可能性が高いからだとヘラルは説明した。

さらに、バイオバックスへのシフトは、ベンチャーキャピタル(VC)の投資先に変化をもたらす可能性があるという。「VCは、特定の医薬品の開発に取り組む企業よりも、創薬プロセス全体に革新をもたらす企業に出資するようになるだろう。また、後期の臨床段階にあるスタートアップへの投資に専念するようになるかもしれない」とヘラルは指摘した。

これらは、現状の金利環境に基づくリスクだが、FRBが2025年に利下げを実施する保証はない。これまでのところ、トランプ次期大統領は一貫して関税の引き上げを主張しており、米議会の予算局は12月18日、「トランプが提案する関税はインフレに上昇圧力をかけ、新規投資のリターンを減少させるだろう」と述べていた。

この組み合わせは、FRBが利下げを停止したり、金利を再び引き上げる要因となる可能性がある。また、さらに厳しい資金調達環境となれば、「レイターステージの資産を持たないスタートアップにとって、資金調達が特に難しくなり、投資家の信頼を損なう可能性がある」とヘラルは指摘した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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