閉じる

PICK UP

テクノロジーと、私たちの影響に関する執筆を担当。

新会社アルファベットのCEOとなったラリー・ペイジ氏。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

新会社アルファベットのCEOとなったラリー・ペイジ氏。
(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

グーグルによる10日の大発表――アルファベットが親会社となり、グーグルはその子会社となる――は、少なくとも同社が今後もムーンショットに真剣に取り組むことを明らかにした。しかし、同社の今後の方向性については様々な疑問が浮上している。

アルファベットへの再編は近年のグーグルの取り組みを体系化した。グーグルのコアビジネスである広告や検索、Android、YouTubeなどを新CEOのサンダー・ピチャイの配下に置いた。ピチャイはこの分野を再編成し、新たなリーダーとして監督する。

しかし、グーグルのコアではないビジネス、不老不死を研究するCalicoやNestといった部門は、この再編でどのような状況に置かれるのだろう。今回の発表後、グーグルはプレス向けインタビューを行っていない。ジャーナリストが参考に出来るのはSECへの申請書と今回のアナウンスを行ったブログの記事だけだ。現状で気になる疑問点を以下に列挙してみた。

1.グーグルのマネージメントはどう変わるのか?
新会社アルファベットには役員が必要だ。全員がグーグルから異動する。ラリー・ペイジが同社のCEOになり、セルゲイ・ブリンは社長になる。エリック・シュミットは役員会会長になる。最高法務責任者だったデビッド・ドラモンドはグーグルを離れアルファベットの企業統治部門の上級副主任に就任する。CFOのルース・ポラットの様に、何人かの役員は同じ役職を両社で兼任する。

以前からグーグルの次期 CEOと目されてきたサンダー・ピチャイはラリー・ペイジの仕事を引き継いで、グーグルのトップに就任する形だ。しかし、旧グーグルでペイジの配下に居た人物、例えばYouTubeのCEO、スーザン・ウォジスキはどう感じるだろう。今後はペイジと彼女の間に、ピチャイがグーグルCEOとして入り込むのだ。

この動きに関しMarketingLand.comの編集者、ダニー・サリヴァンはこう述べている。
「スーザンはYouTubeのCEOとして、ペイジに仕えていた。別のCEOを立てるのなら、なぜ自分の会社を外へ出してくれないんだと考えても不思議ではない」
この疑問はさらに次の疑問へと続く。

2.この動きは新たなスピンオフを生むことになるのか?
グーグルのコアビジネスではない企業は外に出されたが、他のグーグル製品にも同じ疑問が生じる。YouTubeは本当にグーグルの中に居続けるのか、それとも分離されるのか。また、NestやCalicoのようなアルファベット配下の部門がスピンオフする可能性も考えられる。

さらに、今後、アルファベットが新たな企業を買収した場合、その企業がグーグルとアルファベットのどちらに置かれるかで、役員たちの考えが分かることになる。
「例えば、あなた方の会社はグーグルの内部で居場所を失なう恐れはありません。アルファベットの一員として、会社を継続できるんですと告げれば、買収される側を安心させることもできそうだ」と前出のサリバンは述べている。

3.経営の透明性に影響はあるのか?
新体制下では会社の財務報告は、2つの部門から出されることになる。1つはグーグルで、もう1つはアルファベットだ。このことで同社の収益報告はいくらか透明性を増すだろう。しかし依然として苛立つ程に不透明だ。どのグーグル製品が金を産み、どの企業がそうできていないのか?  ハーバードビジネススクール教授のデビッド・ヨフィは「グーグルとそれ以外というだけならほとんど透明性は無いだろう」と述べた。

4.どのグーグル製品がどのバケツに入るのか?
今回の企業分割については次のような声明が発表された。
「新しい組織体制の下で、メインとなるグーグルのビジネスは検索、広告、地図、アプリ、YouTube、Android、さらに、それらに関係する技術インフラ(グーグル Busines)だ。Calico、Nest、Fiber、投資部門のグーグル Venturesやグーグル Capital、さらにグーグル Xのようなインキュベータプロジェクトはグーグル のビジネスから分離されてマネージメントされる」

しかし、グーグルにはここで並べられていないプロジェクトが存在する。人工知能プロジェクトのDeepMindはどうなのか。また、ワイヤレスサービスのProject Fiはどうなのか?

5.このことは欧州での騒動にどう影響するのか?
グーグルはEUからの大規模な独占禁止法違反訴訟に直面し、同社が違法に検索結果を自社の利益のために操作したと訴えられている。規制当局は今回の分割で、グーグルの一枚岩的な構造が変革されたと見るか、それとも単純に会社の名前が変わっただけだと見るのかは不明だ。

6.「邪悪になるな」というスローガンはどうなる?
グーグルの有名な企業スローガンはアルファベットにも適用されるのか、それとも、そっと脇に置かれることになるのか。サリバンは「ひょっとしたら、この再編が厄介事から逃れる手段に使われるかもしれない」との見方を示した。サリバンはまたグーグルの理念である「世界中の情報の体系化」についても疑問に思っている。「グーグルにとってこれはずっと重要なことだったんだが、今後は分からない」とサリバンは述べた。

7.本当に何かが変わるのか?
この疑問に答が出るまでには長い時間がかかるだろう。グーグルのいくつかの部分に対する自由度や他の部分の整理統合はここ数年の間も、密かに行われてきた。アルファベットになっても大きな変化はないと、リーダーたちは言っているが、何人かの上級副社長はC-レベルの役員に降格することになる。

また、ビジネス面では検索と広告が今後も金を産み続け、他の製品はただその金を使うだけという状況は変わらないだろう。ハーバードビジネススクールのヨフィ教授は「外部に出されたビジネス、例えばグーグル XやCalico、グーグル Fiberはキャッシュフロー的にはマイナスであり続け、続行のために巨額の資金を必要とするだろう。グーグルのこれまでの10年間の歩みに、何か変化が現れるかどうかは疑問だ」と述べた。

編集=上田裕資

記事が気に入ったら
いいね!しよう

LIKE @Forbesjapan

Forbesjapanを
フォローしよう

FOLLOW @Forbesjapan

あなたにおすすめ

合わせて読みたい