欧州

2024.12.16 11:00

ウクライナ空軍のSu-27戦闘機、米国製の滑空爆弾4発で「トス爆撃」 映像で確認

ウクライナ空軍のSu-27AB戦闘機。2017年8月、ポーランド・ラドム(Dawid Lech / Shutterstock.com)

ウクライナ空軍のSu-27AB戦闘機。2017年8月、ポーランド・ラドム(Dawid Lech / Shutterstock.com)

ウクライナ空軍のSu-27戦闘機が米国製のGBU-39滑空爆弾を投下する様子を映した珍しい動画は、ウクライナ空軍が重量約110kg、GPS(全地球測位システム)誘導、有翼のこの航空爆弾を4発ずつ使用していることや、射程を伸ばすため角度を高くして放っていることを裏づけているようだ。
動画では、ウクライナ空軍で40機ほどが現役の双発の超音速機であるSu-27が、緑の見えるエリアの上を低空から上昇し、左翼下のパイロンから4発のGBU-39を放つ様子を捉えている。すべてを落とすと、パイロットはただちに機体をバンクさせて旋回し、ロシア側の防空網とできるだけ距離をとっている。

低空を飛行し、上昇して爆弾をリリースし、撤収するというこの方法は、敵の火力にさらされるのを最小限に抑えつつ、爆弾の射程もあまり大きくは制限せずに済む。GBU-39は高高度から放てば、翼を展開して100km超離れた地点まで届くかもしれない。だが敵のレーダーで見えやすい高空を飛ぶのは、ステルス性の高い航空機以外は危険だ。Su-27はステルス性をまったく備えていない。

そのためウクライナ空軍のSu-27や似たような装備のMiG-29戦闘機は、地形によってレーダーから隠れることのできる低空から滑空爆弾による爆撃に入っていく。爆弾をリリースする最後の瞬間に機首を引き起こし、爆弾に上向きの軌道を与える。こうした「トス爆撃」の場合、GBU-39は65kmかそこら先まで届くだろう。

こうした方法によって、ウクライナ空軍のミグやスホーイが滑空爆弾による爆撃の際に危険から十分遠ざけられているのは明らかだ。ロシア軍は今年、Su-27数機を含め、基地に駐機中のウクライナ空軍機を驚くほど多数攻撃することに成功しているが、地対空での撃破は比較的珍しい。

動画のSu-27は、ウクライナ軍が8月に始めたクルスク侵攻の初期に、ロシア軍の工兵部隊がセイム川に渡した多数の浮橋(ポンツーン橋)のひとつを狙ったもようだ。

橋に対する攻撃はセイム川以南でのロシア軍の防衛強化を難しくしたものの、最終的には阻止できなかった。現在、クルスク州での戦闘の中心地はセイム川から数km東になっている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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