スティーブ・ジョブズがMacとiPhoneの発売という画期的な成功を収めて稀有な存在となったことは、ビジネス、そして人生のあらゆる側面における普遍的な真理の1つだ。ジョブズは自身の才能を実によく把握していた。
アップルでチーフ・エバンジェリストだったガイ・カワサキはジョブズのことをよく知っていた。サブスク型のコンテンツ配信プラットフォームSubstackに最近
投稿した「スティーブ・ジョブズから学んだこと」と題したニュースレターの中で、カワサキはビジネスの成功に関するジョブズの6つのすばらしい知見を簡潔にまとめている。
そのうちの1つが「Perfect Your Demo(製品デモを完璧に)」だ。製品発表時のデモについてカワサキは「製品に没頭しよう。確信を持って製品のデモを披露できれば、堂々としたものになる」と書いている。
このようなイベントに出席、さらには登壇したことのある人なら誰でも知っているように、ソフトウェアのクラッシュやハードウェアの故障、ネット接続の障害、画面のフリーズ、停電、照明の不調、バッテリー切れ、マウスの不具合、ポップアップ画面の表示、サウンドシステムの故障……などが突然発生することがある。
良識を持って臨み、先手を打ち、準備を怠らず、バックアップ策をとることで物理・管理面における落とし穴の大半を回避したりあらかじめ対応したりすることができる。ジョブズは極めて入念に準備をする人だった。私はジョブズがアップルを離れている間に手がけたNeXT Computer(ネクスト・コンピューター)発表の最終リハーサルを見る機会に恵まれたため、断言できる。ジョブズが発表中にどのタイミングで上着を脱ぎ、それをどこに置くかをリハーサルしているのを、私は心底感心しながら見ていた。