同次期大統領は、麻薬性鎮痛剤のフェンタニルが米国に大量に流入し、国内で過剰摂取が問題になっているとして、これら3国は同薬物の生産と国境を越えた取引を抑制すべきだと主張。さらに隣国のメキシコとカナダに対しては、不法移民の米国への流入を十分に阻止していないと訴えた。
トランプ次期大統領は前政権時の2018年、当時の北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に署名した。米国がメキシコとカナダに対する関税を導入すれば、トランプ次期大統領は自ら締結した国際協定をほごにすることになる。これは単に貿易を巡る問題というより、トランプ次期大統領が関税を武器に相手国に圧力をかけることを示している。自身の要求が満たされない場合、同次期大統領が関税の導入を実行に移すかどうかは不明だが、これまでの行動を鑑みれば、その可能性はあるだろう。
このやり方を特に嫌う貿易相手国の1つが中国だ。同国はかつてトランプ前大統領が中国製品に対する関税を引き上げた際、米国製品に報復関税をかけ、両国の貿易戦争は一気に拡大した。
メキシコは、トランプ次期大統領がメキシコからの輸入品に関税を導入するのであれば、同国が米国から輸入する製品にも関税をかけると応酬した。カナダ政府関係者はこれに関する取材には応じていないが、メキシコ、カナダ両国は、米国との交渉に応じる意向も示している。一方、中国は強硬策を取ることで知られており、米国側も同じような態度を取れば、2018~19年に米中間で繰り広げられた関税合戦が再燃する恐れもある。