経済

2024.12.05 09:00

トランプ米次期大統領の関税宣言 中国、メキシコ、カナダはどう出るのか?

米ミシガン州ディアボーンにある米自動車大手フォードの工場。2024年4月11日撮影(Bill Pugliano/Getty Images)

標的となっている3カ国は米国にとって最大の貿易相手国

標的となっている3カ国は、米国にとって最大の貿易相手国だ。これらの国々と取引される主な製品には、自動車や自動車部品を含む機械類のほか、鉱物燃料などがある。一般に、米国の輸入品の中で、自動車は金額ベースで最大の割合を占め、関税の適用による価格上昇で大きな影響が及ぶことが予想される。メキシコとカナダに工場を持つ大手自動車メーカーには、ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティスなどがある。米国の中国からの輸入品は電子機器などの機械類が中心だが、プラスチックや雑貨なども含まれる。

中国が米国製品に報復関税をかければ、米国の輸出企業は再び大打撃を受ける可能性がある。米国の農業生産者は2018~19年にかけて、中国への輸出機会を失ったことで250億ドル(約3兆7600億円)を超える損失を被り、米政府が補償することとなった。中国は現在、当時より多くの農産物を米国から輸入しているため、新たに追加関税が課されれば、前回より深刻な影響が及ぶと考えられる。

中国の農産物の輸入が増えたのは、トランプ前政権時の2020年に米中間で結ばれた、いわゆる「第1段階の合意」の成果だ。その中で中国は、米国産農産物の輸入を拡大することで合意。最終的には米国にとって最大の輸出先となった。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の集団学習センターが運営する経済複雑性観測所(OEC)の資料によると、2022年に米国から中国に輸出された農産物の中で金額が最大となったのは大豆で、約180億ドル(約2兆7000億円)に上った。

中国は農産物以外にも、集積回路や石油製品などを米国から輸入している。一方、カナダとメキシコへの米国の輸出は品目がより多様化しており、関税の導入によってさまざまな分野に影響が及ぶ可能性がある。また、米国が中国から輸入する品目も同様で、カナダやメキシコからの輸入品より多岐にわたっている。中国製品への追加関税が現実のものとなれば、あらゆる品目の価格が上がり、米国の輸入業者は頭を抱えることになるだろう。
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トランプ次期米大統領、中国への追加関税を約束 メキシコ・カナダ製品にも

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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