だが、この太陽系第7惑星と第8惑星の内部構造に関する今回の最新研究のおかげで、巨大氷惑星がもう少し興味深いものになりそうだ。その一番の理由は、水、それも大量の水が関係するからだ。
天王星や海王星のような巨大氷惑星は、より広大な天の川銀河(銀河系)内で最も多く見られる惑星であるため、今回の発見は生命探査に非常に大きな関連性があると考えられる。
深い海
米科学アカデミー紀要(PNAS)に11月25日付で掲載された、コンピューターシミュレーションに基づく最新論文では、天王星や海王星の内部には、水素やヘリウムが主成分の青みがかった分厚い大気のはるか下に、水と油のように混ざり合わない物質の層が存在するとの説を提唱している。惑星科学者は長年、巨大氷惑星の内部ではダイヤモンドの雨が降っていると示唆している。だが、今回の新説ではそうではなく、水素とヘリウムの大気中の雲層のすぐ下に深い水の海が存在すると示唆している。研究によると、水の層の下には、炭化水素の層がある。炭素、窒素、水素でできた、高密度に圧縮された流体の層だ。2つの層は、それぞれ約8000kmの厚さがある。
混合がほとんどない
シミュレーション結果によると、巨大氷惑星内部の温度と圧力によってメタンやアンモニアから水素が引き出されることにより、2つの層が分離して存在するようになる。これは次のことを意味する。巨大氷惑星は深部の厚い層の中で粒子の混合がほとんど起きないため、地球に存在するような全球的な双極子磁場がないのだ。地球の双極子磁場は、液体の鉄の外核によって形成される。今回の研究結果は、巨大氷惑星が地球とは明らかに異なる、自転軸から大きくずれた複雑な磁場を持つ理由を説明できる可能性があるという点で、非常に意義が大きい。天王星と海王星が複雑な磁場を持つことは、NASAのボイジャー2号が天王星と海王星のフライバイ(接近通過)探査をそれぞれ1986年と1989年に実施した際の重要な発見だ。探査機による探査はそれ以降、実施されていない。