また、司法省の提案がグーグルの親会社であるアルファベットが所有する、2つのベンチャーキャピタル、GVとCapitalGにも適用されるかどうかは定かではない。
グーグルはどう反論するか?
司法省が昨年から開始したグーグルを相手取る独占禁止訴訟は、そもそもがグーグルの検索エンジンに焦点を当てたもので、AIが主要なテーマではなかったため、この提案は突飛に感じられるという意見もある。「司法省の提案は、この裁判の原点から大きく外れたように見えるので、真剣に受け取ることができない」と、コーネル大学法学部の反トラスト法に詳しいジョージ・ヘイ教授は述べている。
一方、連邦通信委員会(FTC)の元委員長で現在はジョージ・ワシントン大学の法学教授であるウィリアム・コボチックは、グーグルがAIの取り組みを制限された場合に、「中国に技術的な優位性を与えることになる」と主張する可能性が高いと述べている。
グーグルは長年、AI分野のリーダーとして君臨しており、2011年にGoogle Brain(グーグルブレイン)を設立し、2014年にDeepMind(ディープマインド)を買収した。その3年後にグーグルブレインの研究者らは後のジェミニやChatGPTの基盤となるAIアーキテクチャの「トランスフォーマー」を発明した。
しかし、グーグルはその初期のリードにもかかわらず、2年前にOpenAIがリリースしたChatGPTに先を越され、AI競争で遅れをとったと批判された。
AI分野でグーグルと競合するマイクロソフトは、2019年から2023年にかけて累計130億ドル(約2兆円)をOpenAIに出資したとされるが、司法省の提案は、グーグルが同様の出資を行なうことを禁じるものだ。
しかし、グーグルのAI分野での広範な取り組みを考慮すると、これらの提案が同社に大きな打撃を与えることはないだろうと、調査会社Technalysisの創業者であるボブ・オドネルは述べている。「マイクロソフトは社内にAIの才能を持たなかったため、OpenAIとの提携を必要としたが、グーグルは他の誰よりも長くAIを研究してきた。彼らは、たとえ前進を妨げられても、前に進んでいくだろう」と彼は語った。
(forbes.com 原文)