アジア

2024.11.18 10:00

インド最大のエンタメ企業誕生、リライアンスとディズニーが合弁会社を設立

インドの大手財閥リライアンス・インダストリーズを率いる同国一の富豪ムケシュ・アンバニ(Indranil Aditya/NurPhoto via Getty Images)

インド一の富豪ムケシュ・アンバニが率いる大手財閥リライアンス・インダストリーズと米ウォルト・ディズニーは、インド国内で両社が運営していたメディア事業の統合を完了し、評価額85億ドル(約1兆3120億円)というインド最大のエンターテインメント企業が誕生した。

規制当局は11月14日にリライアンス傘下のViacom18(ヴァイアコム18)のメディア事業とJioCinema(ジオシネマ)の事業、ディズニーのStar India(スターインディア)の統合を承認した。合併会社は100を超えるテレビチャンネルと2つのストリーミングサービスを展開することになる。

この事業統合は今年2月に発表された。設立された合併会社JioStar(ジオスター)は、3万を超えるディズニーのコンテンツを取り扱い、視聴者数は約7億5000万人となる。

リライアンスのムケシュ・アンバニ会長は声明で「合弁会社の設立により、インドのメディア・エンターテインメント業界は変革の時代を迎えようとしている」と述べた。「当社の創造性に富む深い専門知識とディズニーとの関係、そしてインドの消費者に対する比類のない理解により、国内の視聴者に他に類を見ないコンテンツの選択肢を手頃な価格で提供することを保証する」

リライアンスのジオスターへの出資額は1150億ルピー(約2100億円)で、16.3%の株式を保有。さらにヴァイアコム18を通じて46.8%の株式を保有し、リライアンスが過半数を握る。残りはディズニーが保有する。

ウォルト・ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は「リライアンスと手を組むことで、この重要なメディア市場でのプレゼンスを拡大し、エンターテインメントやスポーツコンテンツ、デジタルサービスなど、これまで以上に充実したサービスを視聴者に提供することができる」との声明を出した。

合弁会社の2024年3月期の売上高は2600億ルピー(約4755億円)に上る見通し。年間3万時間を超えるテレビ向けコンテンツを制作する。ジオシネマとディズニーのストリーミングアプリHotstar(ホットスター)は5000万超の契約者を誇る。ジオスターはインドで絶大な人気を誇るクリケットの放映権も持つ。

合弁会社の設立とは別に、リライアンスは米メディア大手のパラマウント・グローバルが保有するヴァイアコム18メディアの株式13%を428億ルピー(約780億円)で取得したことも明らかにしている。これにより、ヴァイアコム18メディアへの出資比率は57.5%から70.5%になった。メディア王ルパート・マードックの息子、ジェームズ・マードックが出資するBodhi Tree Systems(ボーディ・ツリー・システムズ)もヴァイアコム18の株式を保有している。

「メディア消費がテレビとデジタルの統合されたエコシステムに移行し続ける中、ヴァイアコム18とスターインディアの合併は、インドの多様な消費者層により良いサービスを提供するために業界を再編するまたとない機会となる」とボーディ・ツリー共同創業者のウダイ・シャンカールは述べた。

リライアンスはメディア以外にも、石油・ガス、石油化学、小売、通信などの分野で事業を展開している。2024年3月期の連結売上高は1190億ドル(約18兆円)、純利益は95億ドル(約1兆4660億円)。先月発表されたフォーブスアジアの「インド長者番付」でムケシュ・アンバニは純資産1195億ドル(約18兆円)でトップだった。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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