アート・コレクターだった父の影響を受け、自らもアートの世界に足を踏み入れたアレクサンドラ・フェインが共同で創設したこのフェアが焦点を当てるのは、新人からすでに広く知られているアーティストまでさまざま。異文化間の対話や、異なる芸術分野の活動を結び付ける役割を担ってきた。
モネ・ド・パリ(パリ造幣局博物館)で10月20日まで行われた2024年のフェアには、71のギャラリーが参加。中央アジアからアジア太平洋地域、アジア全域のアーティストたちが、個展やデュオ展などを行った。
以下、これまでの活動について、フェインに話を聞いた。
──創設以来のフェアの変化を、どのように受け止めていますか。また、これまでで最大の節目となった出来事は何でしたか?
アジア・ナウは、欧州では当時、まだあまり知られていなかったアジアの現代アートシーンの認知度を高めたいとの思いから創設したものです。2015年にパリのイベントホール、エスパス・カルダンで行った第1回のフェア以降、それまで知名度の低かったギャラリーやアーティストたちを紹介することに、焦点を合わせてきました。
重要な節目となったことの1つは、中国のThousand Plateaus(千高原)をはじめとする有名ギャラリーを特集した初回のフェアの開催です。2016年にフィリピンの現代アートシーンを取り上げたことや、世界的に有名な日本の建築家、藤本壮介とのコラボレーションを(2018年に)実現したこともそうです。
私たちの旅は、絶え間ない変化を反映しています。中国の現代アートから、南アジア、韓国、さらには中央アジアを含む地域まで、より広い地域のアートシーンを取り上げるまでになっています。
──欧州の人々がアジアの現代アートシーンと関わるべき理由は、どこにあるのでしょうか。このフェアは、そうした関わり合いの実現に、どのような役割を果たしていますか?
アジアの現代アートシーンに触れることは、アートを巡る世界全体の状況についての理解を深めることになります。そのため、欧州の人々にとっても非常に重要だと考えます。
西洋中心に語られることが多い現状に挑み、現代の問題に対する新たな視点を提供する文化的、芸術的にダイナミックな動きは、アジアから起こっています。アジア・ナウは欧州の人々と、アジアの多様で豊かな伝統、そのアート界から始まるイノベーションとのつながりを、より深めることに貢献しています。