こうした負荷は、たとえ物理的な家事を平等に分担しているように見えても、一方のパートナーに疲労感や憤り、自分は感謝されていないという思い、過度の負担を担っているとの心情を残すことになる。
たとえば、仕事中にも家事のことをあれこれ考えていたり、家の掃除をパートナーと一緒にしたのに一日の終わりにはぐったり疲れてしまったりしたことはないだろうか。これらは、目に見えない負荷が重くのしかかっている証拠かもしれない。
学術誌Journal of Business and Psychologyに2023年に掲載された「卵を買い忘れないようにしているのは誰?」というぴったりのタイトルがつけられた研究論文では、家庭内やパートナー間における目に見えない負荷について検証している。研究チームは、皿洗いやゴミ捨てのように目に見えるタスクもあれば、気づかれていないが認知的・感情的に重要な意味を持つタスクもある点を強調している。
この研究によれば、パートナーとの関係において「見えない負荷」を負っていることを示す兆候が3つある。以下に紹介していこう。
1. 管理上の負荷
管理上の負荷には、家庭内のタスクを計画・運用・調整する継続的な責任が含まれる。これは、家族や家庭のニーズ、スケジュール、日々の人や物の動きや流れを全面的に管理することを意味する。家族の活動の調整から、食事の献立、家事のルーティンの整理まで、常に状況を気にかける姿勢と、先回りして気配りすることが求められる。パートナー関係においては、どちらか一方が固定してこの役割を担っている場合が多く、これは燃え尽き症候群につながる可能性がある。特に、もう一方のパートナーが、家の中は「うまく行っている」と思い込んでいるような状況は問題だ。意図的な姿勢ではないかもしれないが、意図していないこと自体が問題なのだ。パートナーの一方が意識してやるべきことに気づこうと努めているのに、もう一方は気づかないのだ。
もしも常にタスクを監督したり、割り当てたり、誰がどこにいて何をすべきか、どうすれば日常業務を効率化できるかを考えたりしているのなら、あなたは管理上の負荷を負っているかもしれない。この状態を放置しておくと、特にそれが精神的なエネルギーと時間の消費につながっていることをパートナーが理解してくれていない場合、憤りが鬱積しかねない。