アジア太平洋地域全体に共通するAI法制度の枠組み形成は、今後も遠い夢のままのようだ
欧州連合(EU)における統一されたアプローチとは異なり、アジア太平洋地域は、AIに関する法制度をめぐって分裂状況を呈している。市民の保護やデータプライバシーのような核となる原則こそ多くの国が共有しているもの、法規制の実態には大きな開きがある。たとえばシンガポールは、成熟したガイドラインによる「責任あるAI」という理念を推進している。一方、中国はアルゴリズムを悪用した不正行為を取り締まる法の制定に注力している。インドは、現行の刑法を用いて同様の問題に対処している。
「AIガバナンスと倫理に関するASEANガイド(ASEAN Guide on AI Governance and Ethics)」のような構想も生まれてはいるものの、まだ初期段階にある。そのため、この地域の企業は、AIの導入が拡大するなかで、それぞれの国の規制に合わせた形でコンプライアンスに関する投資を余儀なくされている。
アジア太平洋地域の企業の5社に1社が、「デジタル投資の効果測定」を最優先事項に挙げている
調査会社のForrester(フォレスター)が2024年に行なった調査データでは、デジタル部門の意思決定者のうち、デジタル構想の評価にKPI(重要業績評価指標)を用いているのは38%にとどまることが明らかになっている。2025年もデジタル投資にかなりの予算が割かれるとみられるが、多くのアジア太平洋企業は、さまざまな測定基準を財務のKPIと結びつけるのに苦労している。この断絶を埋めるために、先進的な企業は今後、効果測定インテリジェンステクノロジーに投資するほか、効果測定の慣行を強化するために、部署を横断したタスクフォースを設置するだろう。
ただし、デジタル部門を率いるリーダーは、生成AIに関するダッシュボードを用いたソリューションには用心した方がいい。というのも、こうしたダッシュボードを提供するベンダーは、データ統合や分析にまつわる複雑性を過小評価しているケースが多いからだ。
(forbes.com 原文)