三菱鉛筆は、慶應義塾大学理工学部の満倉靖恵教授と共同で、筆記具を使って「書く」または「描く」ことが日常生活にもたらす効果について研究しているが、そのひとつの試みとして、手書きの日記が睡眠の質に与える影響を調べる実験を行った。
実験は3カ月にわたって行われ、被験者には寝る前に3つの行動を実施してもらった。最初の1カ月間は何もしない。次の1カ月間はアプリで日記をつける。最後の1カ月間は手書きで日記をつける。それぞれ睡眠中に心拍データを計測して、睡眠を、覚醒、レム睡眠、浅睡眠、中程度の睡眠、深睡眠の5段階で評価した。
すると、何もしない場合の深睡眠の割合が12パーセントだったのに対して、アプリは20パーセント、手書きは29パーセントと大幅に向上していた。2カ月間にわたる日記をつける習慣が睡眠の質を累積的に向上させた可能性も考えられなくもないが、アプリにせよ手書きにせよ、少なくとも日記を書くと眠りが深くなることを示す結果でもある。だが、紙と鉛筆で日記を書くという行為は、アプリを使うよりもずっと心地いいはずだ。その効果は直感的に理解できる。
これは、手書きで日記をつけることが、深く良質な睡眠をうながし、疲労感軽減や認知機能の向上にも効果が期待できることを意味していると三菱鉛筆は話している。またこれは「手で書くことの価値を再評価するうえで大変意義深い発見」であり、眠りに限らず、書く行為がもたらす効果をさらに研究していくということだ。
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